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ニッポンの社長 > インタビュー > 編集者オススメ記事 > 株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル) 名誉会長 羽鳥 兼市

※下記は経営者通信36号(2015年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

在庫を減らすために 販売チャネルを拡大する

― 近年は、展示場での小売も積極的に行っています。「買取専門」のビジネスモデルからの転換を図っているのですか。

 いいえ。当社の主軸はあくまで「買取専門」です。ただ、オークションに出品するまで1週間から10日くらいの待ち時間があります。その間、モータープールに寝かしておくのはもったいない。1998年から「ドルフィネット」というインターネット上での小売を開始していますが、さらに展示場に置いて販売し、少しでも待ち時間を短縮する手段を増やそうとしているのです。

 現在、積極的に展開しているのが、車の乗り換えというイベントを楽しんでもらうための大型展示場「WOW!TOWN(ワオタウン)」です。さらに、車体にキズがあったり走行距離が長い車は「ガリバーアウトレット」で販売するなど、さらに販売チャネルを拡大中です。

 小売で販売すれば、任意保険やカーナビなど付帯サービスの販売が見こめ、リピーター獲得も期待できます。しかし、これらはあくまで小売で「在庫」を抱えるのではなく、在庫を減らす手段だという位置づけは変わりません。

中古車業界イメージを払拭するための立地戦略

― 会社の成長には、優秀な人材の獲得が欠かせません。どのような人材戦略を行っているのでしょう。

 ヘッドオフィスの立地場所にこだわっています。私は創業時から「世界の頂点に立つ」と恥ずかしげもなく言い続けてきました。社名に「インターナショナル」とつけたのも、最初から世界を見すえていたから。そこに共感する人材をどれだけ集める環境をつくるかが課題でした。

 最初は、私の出身地である福島県に本社を構えたのですが、そこから世界をめざす人材を集めるのは難しい。そこで、1996年に千葉県浦安市に移転しました。しかし、それでも厳しい。中古車業界とイメージが合いすぎるんです。浦安市の広大な敷地にズラーッと車が並ぶなんて、いかにも中古車ビジネスっぽいじゃないですか(笑)。

― それでどうしたのですか。

 次は、逆の発想をしました。中古車ビジネスのイメージに、いちばん似合わない場所はどこだろうと。思いついたのが、日本でも屈指のビジネス街である東京の丸の内です。2006年に移転。これが正解でした。

― オフィスを移転するだけで、集まる人材も変わってくるのですか。

 まったく変わりました。まず、丸の内に本社を移転することで、当社に対する世間の見方が変わりました。当社はわかりやすくて安心できる買取価格の設定を心がけていますが、世間からすれば中古車ビジネスはまだまだ価格設定が不透明なイメージがあった。それが、本社が丸の内にあるだけで「あの会社は信用できる」となったのです。

 信用が高まるとともに、質の高い人材も集まってきました。オフィスの立地は、当社にとって重要な戦略でしたね。

― 人材育成についてはいかがでしょう。

 一人ひとりの意欲を重視するようにしています。具体的な事例のひとつに「チャレンジ申請」という制度があります。これは、熱意ある人材に異動の機会を与えて成長をうながす制度。実際に、入社3年未満の新卒社員8名が海外で活躍していますよ。

著名経営者

  • 株式会社スタジオジブリ

    鈴木 敏夫
  • GMOインターネット株式会社

    熊谷 正寿
  • 株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)

    羽鳥 兼市
  • テンプスタッフ株式会社

    篠原 欣子
  • 株式会社セプテーニ・ホールディングス

    七村 守
  • GMOインターネット株式会社

    熊谷 正寿

プロフィール

  • お名前羽鳥 兼市
  • お名前(ふりがな)はとり けんいち