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ニッポンの社長 > 株式会社ディー・エヌ・エー 取締役ファウンダー 南場 智子

※下記はベンチャー通信57号(2014年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

― そんな日本で、DeNAがここまで成長できた理由はなんですか。

 人材の質が圧倒的に高いことです。とかくベンチャー企業は、大企業に入れなかった人たちの集まりになりがちです。そうはなりたくなかった。だから、どんなに人手不足でも歯を食いしばって、優秀な人材だけを採用するようにしてきました。

 手が足りないときにはアウトソーシングなどを活用。正社員で採用するのは、「ほかにアテがないから」ではなく、「どの会社にだって入れるけれど、DeNAに入りたいんです」という人だけに限ってきました。

― 優秀な人材を集める方法を教えてください。

 「この人を採用したい」と思ったら、時間をおしみません。ひんぱんにコンタクトを取って、「最近どう?」なんて、飲みながら話をする。タイミングをみて入社するように口説く。たぶん私は、日本でいちばん採用に時間をかけている経営者じゃないかな。いまも3人くらい、口説き落としたい人材をリストアップしています(笑)。

 たとえば昨年入社した男性。就活でDeNAを受けてくれて、「多くの人を動かす力をもっているな」と評価していたんですが、外資系の投資銀行に就職してしまった。私はそれから2年待ちました。

 彼は入社2年目にニューヨークに赴任。あちらでトップバンカーになった。一時帰国したときに会ったんですが、「新しい事業を立ち上げたい」といってきた。「だったら、うちにおいで」と。それでやっと転職を決意してくれました。入社してさっそく周囲をまきこむ力を発揮。彼のチームはわずか4ヵ月で「Showroom」という仮想ライブ空間の新サービスを事業化したんです。

― 南場さんが考える優秀な人材の条件はなんですか。

 大事な条件のひとつは「思考の独立性」があることです。他人の考えにあわせるのではなく、自分のアタマで考え、自分なりの意見をもち、それをしっかりと発信する。それができない人は、DeNAでは活躍できません。

― 周囲にあわせることをよしとする企業が多いと思います。

 私たちは違います。チームリーダーの考えにみなが従うだけなら、メンバーの存在意義がない。反対を受けて考えを見直す機会がないから、間違えるリスクも高くなります。

 なぜチームを組むのかといえば、リーダーとは違う強みがあったり、違う見方ができるメンバーを集めることで、意見を戦わせられるからです。その話しあいのプロセスがあるから、最終的な結論にみんなが納得し、心から力をあわせることができます。

― 年齢や役職は関係ないという風土なんですね。

 若い人にしか見えないものを、大人はもっとリスペクトすべきです。いま、私は内定者と一緒に新卒採用プロジェクトの企画を練っています。ターゲットとなる学生にいちばん近い感覚をもっているのが、内定者なのは明らかですから。

 また、DeNAでは経営会議の承認がなくても、現場のアイデアをカタチにして市場に出すことを認めています。それでユーザーに支持されたら、応援部隊の投入や追加の投資をする。若いメンバーがどんどんアイデアを市場で試しています。

― 経験のない若手に仕事をまかせると、失敗するリスクが高いのではありませんか。

 ええ。でも、仮に失敗しても、仕事をまかせれば確実にその人は成長します。失敗のリスクはとってもいいが、「人が成長しない」というリスクは絶対に避けなければいけない。どんどん仕事をまかせて、どんどん成長してもらうことで、企業が成長していくと考えています。

著名経営者

  • 日本食研ホールディングス株式会社

    大沢 一彦
  • 株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)

    羽鳥 兼市
  • 株式会社スタジオジブリ

    鈴木 敏夫
  • 楽天株式会社

    三木谷 浩史
  • マネックスグループ株式会社

    松本 大
  • 株式会社堀場製作所

    堀場 雅夫

プロフィール

  • お名前南場 智子
  • お名前(ふりがな)なんば ともこ