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ニッポンの社長 > インタビュー > 世の中に独自の価値を提供する社長 > 株式会社ラインズ 代表取締役 大津 至久

― どのような人材にそれを期待したいですか。

 どうせやるなら、私は世界初や日本初という切り口で勝負したい。それは何でも「際」が面白いんです。リスクと可能性は紙一重で、そのギリギリの「際」のところで力を発揮できる人が世の中を変えられる。

 たとえば新しい法律ができて制約が生まれる直前のところには、常に大きな可能性が潜んでいる。まだ目をつけていない未開拓のぎりぎりの「際」のところで、先鞭をつけて果敢にトライできる人は面白いですね。発想と大胆な行動力、そして豊富な知的好奇心。たとえば、与えられる遊びではなく、自分でルールを作って遊びが作れるという人とぜひ一緒に頑張ってみたいんですよ。

 流通は常に朝令暮改で、決まったことがその通りにいかないことも多い。変わることが自分たちの仕事であると考え、常に自分から変化を求める価値観が必要だと思いますね。

― 今後の事業の展望を教えてください。

 もっと消費を楽しいものにしていきたいですね。単に安く売るのではなく、楽しさという付加価値を付けて安く売る価値観を見つけていけば、生産者へのメリットもいっそう生まれるはずです。

 付加価値や楽しさとは、イコールその場所に行くのが好き、という消費者の行動なんですよ。たとえば今人気を集めるコストコやIKEAなんてそう。買い物に行くというより、そこに行くこと自体が楽しい。行くと楽しさを提供してくれるからなんです。

 その空間は、もはや「売らんかな」という場所ではありません。売らない場所にするから、そこに新たな楽しさやコミュニケーション、情報の交錯が生まれるといわれています。

 「売らない場所」がもたらす光景を1つイメージしてみましょう。世の中のおばあちゃんたちはまだまだ働きたいという人が多く、とくに子育て支援をしたいという人はいっぱいいます。それを、どこかの店舗の中に「売らない場所」、たとえば託児所などを作ってみましょうか。

 子守りに近所の顔馴染みのおばあちゃんたちに来てもらい、買い物を終えたママが子どもを引き取りに来るときに、子育ての相談をおばあちゃんにします。すると会話の中で「おむつは〇〇がいいのよ」といったフレーズが出てくる…。それでもうマーケティングが成立するんですよ。それは「売らない場」の情報から生まれる流通マーケティングなんです。

 おばあちゃんの生きがいになり、お母さんは安心して買い物ができ、店も結果的に商品が売れる。これは売り場ではできないマーケティングですね。大型ショッピングモールなどでは、2階や3階に専門店を結ぶ通路(橋)がありますが、ここも本来、売場ではない。でも、そこには宝が埋まっているという人もいます。こうした場所を必要とする場所に創って行くこともしていきたいですね。

■ 大津 至久 (おおつ よしひさ)

1964年、神奈川県生まれ。ローソンに就職して店長、SV、営業企画、開発企画と務めたあと、広告会社でセールスプロモーションのプランナーとして活躍。コンビニエンスストア時代に身につけた流通の知識とセールスプロモーションのノウハウで、流通に強いマーケティングソリューションを確立する。その後、消費者本位の流通の実現を目指して2008年に株式会社ラインズを設立し代表取締役に就任。日本を代表する複数の大手スーパーチェーンのマーケティングプランニングやコンサルティングを中心に活躍している。

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プロフィール

  • お名前大津 至久
  • お名前(ふりがな)おおつ よしひさ
  • 出身神奈川県
  • 血液型O型
  • 家族妻、娘二人
  • 尊敬する歴史上の人物平清盛、織田信長、坂本龍馬
  • 好きな食べ物辛いもの
  • 好きなミュージシャンジェフ・ベック
  • 休日の過ごし方家族と一緒に