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Twitter Japan株式会社 代表 近藤 正晃 ジェームス

“つぶやき”が世界を変えていく

2006年にアメリカで誕生し、世界中で旋風を巻き起こしているTwitter。140文字以内の短文「ツイート」を投稿して共有したり、興味のある最新情報を得るためのソーシャルメディアとして、1億人以上のアクティブユーザーから支持されている。また、「アラブの春」と呼ばれる中東民主化運動、昨年の東日本大震災では情報伝達ツールとして活用され、その影響力を社会に知らしめた。果たしてTwitterは何を目指し、どこへ向かうのだろうか。そこで今回は、昨年4月に設立されたTwitter日本法人を取材。代表の近藤氏に、ソーシャルメディアの役割、Twitterのミッション、今後の事業展開などを聞いた。

― ここ数年で日本のTwitterユーザーが急増しています。なぜ英語圏ではない日本で利用が広がっているのでしょうか。

 私たちも明確な理由をつかんでいるわけではありませんが、主な要因は3つあると考えています。1つめは、通信手段の長い歴史。古くは電報から始まり、ポケベル、携帯電話のショートメールなど、日本人は制限のある通信手段を使いこなしてきました。ですから、短い文章の中にメッセージを凝縮するのは慣れているのだと思います。2つめは、日本語の特性。英語の140文字と日本語の140文字は情報量が圧倒的に違います。私の感覚では、英語の3倍くらい表現できる気がします。短歌や俳句に代表されるように、コンパクトに本質を表現するのに適した言語なのでしょう。そして3つめは、国民性。1秒当たりツイート数の世界記録は、いつもアメリカと日本が競い合っています。両国の人口差を考えると、日本の1人当たりツイート数は世界一でしょう。実際、「なでしこジャパン」がワールドカップで優勝した時には「1秒当たり7,916件」という世界最高のツイート数(当時)を記録。ひとつの出来事にみんなが一斉に盛り上がる力は、日本人の特質だと思います。

― Twitterは20言語以上 に対応していますが、ツイート数には国民性が現れているのですか?

 私たちのデータからみると、日本は非常に特別ですね。1秒当たりツイート数で言えばブラジルも多いのですが、日本とは比較になりません。たとえば、リオのカーニバルは「リオ」という一都市の規模で盛り上がるだけです。一方、日本のお正月は全国民が「あけましておめでとう」と一斉に1億人以上がお祝いをする。日本人にとって新年を祝うのは当たり前のことですが、世界的に見れば信じられない出来事なんです。

― 近藤さんは2011年4月にTwitter Japanの初代代表に就任しました。代表就任の経緯を教えてもらえますか。

 当社代表に就任する前は、首相官邸で政策立案や国際広報などに携わっていました。そして、Twitterの経営陣から誘われ、昨年1月にTwitter Japanの顧問に就任。当時から日本のユーザー数は多く、1人当たりのツイート数も世界最高レベル。最重要マーケットのひとつとして、どのようにTwitterを広げていくか一緒に考えていました。そういった動きと並行して、2010年12月から「アラブの春」と呼ばれる中東民主化運動が続々と巻き起こりました。さらに昨年3月に東日本大震災が発生。こういった世界レベルの出来事において、Twitterが大きな力を発揮していることを改めて認識したのです。そして、このサービスのポテンシャルを拡大させるため、4月に日本法人を設立。同時期に設立されたイギリス法人と並び、Twitter初の現地法人となりました。

― Twitter Japanの代表就任と東日本大震災には関連があったのですか。

 個人的にはありましたね。もちろん、「アラブの春」が起きた時もTwitterの重要性を認識していましたが、どこか遠い世界の出来事のような感覚があったのです。その後、東日本大震災が起こり、Twitterの社会的重要性を強く実感しました。当初は通信ネットワークのひとつとして、被災者を救出するために使われました。携帯電話や固定電話がつながらなくても、インターネットはつながる地域があったからです。さらに、刻々と移り変わる地震や放射能の情報をリアルタイムで入手できる仕組みも構築。また、政府や公共機関が情報を提供するため、数百個もの公式アカウントが開設されました。中でも私が感激したのが、善意のつながりです。一般ユーザーが「こういうことで困っています」とつぶやくと、それを助ける方がネットワークの中から登場するのです。実際、被災された妊婦の方からの「食べ物や医療の面で気をつけるべきことを教えてください」というツイートに対して、産婦人科医の先生が丁寧にアドバイスをしていました。

― 単なるコミュニケーションツールではなく、積極的に助け合うツールとして活用されたわけですね。

 Twitterにはツイートにタグを付ける「ハッシュタグ」という機能があります。これはハッシュマーク(#)の後にテーマを表す語句を入れることで、テーマごとの一覧検索を容易にする仕組みのこと。震災後はライフライン、薬、妊婦さんなど、たくさんの関連ハッシュタグが生まれました。つまり、困っている方を助けるために、人々が有機的にどんどん問題を解決しようとしている。そういった一連の出来事に心を打たれたのです。いまはサービスに責任を持つ立場になったので、感動ばかりもしていられませんが、この時に感じた想いは大切にしています。現在はTwitterを災害時のライフラインとして確立すべく、様々な取り組みを行っています。

― 今後、ソーシャルメディアの社会的役割はどうなっていくのでしょうか。

 より純化していくと思います。少なくとも、私たちは明確なミッションに向かっています。それは「世界のすべての人を、その人が大切だと思うことに瞬時につなげます」というもの。これを実現すれば、Twitterが社会を変える原動力になると思います。逆の視点から見れば、自分が何かを発信すれば、その情報に興味がある世界中の人々とつながることができます。それがアラブ諸国では「民主化」であり、震災後の日本では「安心・安全」でした。もちろん、もっと個人的な関心事でつながることもできます。たとえば、サッカーが好きということかもしれないし、このレストランが美味しかったということかもしれない。このように、多様な広がりを世界規模で構築できるリアルタイムの情報プラットフォームが生まれつつあります。今後は、もっと多くの人々にTwitterを使ってもらい、壮大な情報プラットフォームの可能性をひろげてほしいですね。

著名経営者

  • SBIホールディングス株式会社

    北尾 吉孝
  • クオンタムリープ株式会社

    出井 伸之
  • 株式会社ネクスト

    井上 高志
  • シダックス株式会社

    志太 勤
  • 株式会社ファーストリテイリング

    柳井 正
  • GMOインターネット株式会社

    熊谷 正寿

プロフィール

  • お名前近藤 正晃 ジェームス
  • お名前(ふりがな)こんどう まさあき じぇーむす