― 最初に、事業内容を教えてください。

　3つあります。まず、メインの事業となっているのがトラブルシュートサービス。たとえば、「オープン間近なのにシステムが稼働しない」「システムがダウンしてしまい、どうしても復旧できない」「Webシステムを開発中なのだが、どうしても求めるスピードや性能が出ない」…。システムの現場では、そんな問題が起き、現場にいるエンジニアでは解決できないケースがあります。そのとき、システムオーナーや、そこから開発を請け負っているSIerなどの依頼を受けて、現場へ出向きます。

　そしてトラブルの原因を究明し、すばやく解決していく。米国ではひとつのサービス分野として認知されていますが、国内ではまだめずらしい存在。いわば、「システムのドクター」のイメージです。緊急のケースも多いですから、さしずめER（集中治療室）所属の救命医といったところでしょうか。少し前にERを舞台にした米国ドラマが人気になりましたよね。「ああ、これって私たちがやっていることだな」と思いながら、観ていましたよ。

― 確かに、死に瀕している状態から蘇生へと導く、社会的に重要な役割を担っている点は共通しますね。では、ほかの2つの事業について教えてください。

　ビッグデータ活用支援事業とWeb開発コンサルティング事業を展開しています。どちらも、いま多くの企業が実行しようとしているホットなIT領域。でも、「システムをつくったはいいが、所期の成果を出せていない」というケースが非常に多いんです。流行の最先端のITシステムを作るには、技術的にも最先端で多種多様なテクノロジーを組み合わせる必要があり、幅広く、かつ深い知識をもつエンジニアが担当するかフォローアップしないと、「成果の出せるシステム」の品質には届かないのが実情です。

　この2つの事業は、トラブルシュート事業の顧客からの依頼がほとんど。トラブルを解決するプロセスで、私たちのエンジニアとしての力量を知ってもらうことで、発注につながっているんです。

― 2017年に設立したばかりにもかかわらず、大手SIer、大手通信キャリアや大手カード会社など約20社がクライアントになっているそうですね。それらの企業には一流のエンジニアが在籍していると思うのですが、なぜ、そんなに頼りにされるのでしょう。

　まず、国内におけるエンジニアの人手不足があります。「一流のエンジニアが在籍している」といっても、すべての現場に配置できるだけの人材がいるわけではない。企業によっては、自社の抱えるシステム案件について、トラブルシュートを行う専門部署をもうけているところもあります。でも、部署の人員に比べてトラブルの件数が多いため、現場に出向かず、メールなどによって遠隔で相談に乗るだけの場合もあります。ですから、なかなか解決にいたらないのです。

　それに、システム開発における多重請負構造の問題もあります。エンジニアはシステム全体の構造を知らず、自分が担当している箇所だけの部分最適を追求しがち。全体に目を配るのはプロジェクトマネジャーのはずですが、技術力が不足している人もなかにはいる。結局、各要素をうまく連携させて、全体最適を追求している人が誰もいない。だから、トラブルが発生してしまうんです。

　たとえば、あるシステムが稼働しないとき、そのシステムと直接には連携していないファイヤーウォールシステムの設定が問題だったというケースもあります。そこまで目を配って原因を探せるエンジニアは数少ないのが実情なんです。