株式会社ラカム 代表取締役 田中 將智
「勝ちたい」想いへの挑戦が、機械づくりの新たな扉を開く
つねに事故と隣り合わせのリスクを伴うファクトリーオートメーションの現場。その危険から作業員の身を守ってくれるのが「安全カバー」の存在だ。工場の安全対策の専門メーカーとして、優れた安全カバーの製造技術を有し、日本を代表する多くの企業の信頼を集めるのが株式会社ラカム。業界で独自のポジションを築く同社のものづくりへの気概には、会社を牽引する田中代表が培ってきた想いが集約されていた。
― 事業内容を教えてください。
ファクトリーオートメーションの安全対策に関する専門メーカーとして、主に「安全カバー」を製造しています。
安全カバーとは、主に工場でロボットなどの機械やベルトコンベアによる作業の危険から身を守る防御装置。つまり手や指がそれらにはさまれないように機械の表面を覆うカバーで、危険を察知したら機械が自動停止する仕組みにもなっているものです。
安全カバーは作業者にとっては欠かせない装備であり、それがない状態で一歩間違うと、指や腕を切断してしまったり、最悪の状況では首が機械にはさまって骨折してしまうといった危険も生じます。
こうした工場設備に不可欠な安全カバーを、日本を代表する機器や食品、薬品メーカーなどあらゆる業種の工場に広範囲に納めているのが当社です。今では欧米やアジアのメーカーにも納入するなど、市場規模は世界に広がっていますね。
― お客さまから支持されている理由を教えてください。
ひとつは、お客さまからのさまざまな要望に対して、「無理」といわないところでしょうか。
当社は安全カバーの専門メーカーですが、お客さまから製作を依頼されるのはそれだけではないんです。いってみれば「何でも屋」。お客さまからの依頼に応えて、工場内の「階段」や「掲示板」などをつくったこともあります。
地元にいろんなメーカーの仲間がいて、彼らの専門技術を使ってつくることもありますし、製造方法を教えてもらって自社工場で製作することも。どんな発注でも、「無理です」「うちではできません」というのは悔しいし、納得いかないんですね。
何でもNOとはいわず、絶対にトライする。お客さまから「すごいね」と驚かれると僕らもうれしいですから。その結果、新しいものづくりの可能性が広がることもあるんですよ。
― 製造過程での強みや特徴は何でしょうか。
安全カバーの製作について、つねに設計から手がけることを重視している点です。この業界では設計をクライアントが行い、製造だけを請け負う同業他社は少なくありません。その点当社では、自社で設計と製造の両方を行うことにこだわっています。
自社で設計することによって、必然的にお客さまの工場を実際に自分の目で見ることが必要になります。同じ機械の種類でも、工場ごとに配線が違ったり、コンベアの隙間の幅もほんの少し異なるなど千差万別。そのため、実際に現場で機械の配置された状況を見て、一つひとつの機械に細かく合ったものをオーダーメイドでつくる必要が生じます。
機械は動くものですから、設計段階で100%のものをつくるのは現実的に無理なんですね。設計で80%のものをつくり、残りの20%を現場とのコミュケーションの中で詰めていく。当社は他社が真似のできない短納期を実現していますが、それは設計と製造とが緊密なコミュニケーションの中で機能していることの証しといえます。
また、製作した安全カバーを、納入先の工場まで出向いて取り付けまで行う点も当社のこだわりの一つです。
この取り付けは、実は安全カバー設置の行程でもっとも手間のかかる部分なんです。だからふつうの業者は納入するだけで、取り付けはお客さまにまかせることがほとんどです。
でも、一番面倒な作業をお客さまにやってもらうのはやはり不本意。当社で設計から製作、施工から取り付けまですべてを行う状況をつくりたくて、そこまでこだわっていますね。
プロフィール
- お名前田中 將智
- お名前(ふりがな)たなか まさとも