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ニッポンの社長 > 株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長 藤田 晋

― 藤田さんは変化の激しいIT業界で、16年にわたって継続成長を実現しています。継続成長に導けなかった経営者との違いを教えてください。

 端的にいえば、マイペースに経営を行ってきたことです。

 振り返れば、当社は時代ごとにさまざまな紹介のされ方をしてきました。ITバブルのときは、「ビットバレー」をけん引するベンチャーの1社として。「ヒルズ族」という言葉が流行ったときは、その代表格として私の名前とともに頻繁にとりあげられました。六本木じゃなく、渋谷にいるのに(笑)。そして現在は、『Ameba』やゲームを運営する会社として広く認知されています。

 こうしてみると、つねに攻めの経営をしてきたようにみられがちですが、そんなことはありません。たとえば世間が浮ついているときでも、インターネットという成長産業から軸足をぶらさず、つねに地に足をつけた経営を心がけてきたのです。

 消えていった会社の多くは違いました。マスコミに大きくとりあげられ、多くの投資家がつき、人材採用も成功する。すると、浮足立ってしまうんです。新規事業に必要以上の投資をしたり、ムリに規模の拡大を図ったりして、成長を急いでしまう。結果、足をすくわれてしまうのです。

― 時流に乗ってはいけない、ということでしょうか。

 いいえ。注目されることは重要ですし、なにも主張せずに目立たないでいると、まるで昔の会社のように扱われます。そうしたレッテルを貼られると、IT企業としてはダメージが大きい。目立たなかったからこそ、ひっそりと消えたベンチャーがあるのも見逃してはいけません。

 つねに注目を浴びながら、身の丈にあった経営をするのが重要。自社のアピールはホットに、経営はあくまでクールに。このバランスをとることです。

― 御社は、主力事業を広告代理業から『Ameba』を軸としたメディア事業へ転換。その後、事業領域をパソコン・フィーチャーフォン分野からスマートフォン分野へ一気にシフトしました。大きな経営戦略の転換を2度成功させることができた理由を教えてください。

 勝負どころを見極め、覚悟を決めてやりきったからです。身の丈にあった経営は重要ですが、会社が成長し続けるためには、どこかで勝負することも必要。その際の判断基準は、80%くらいの勝算があり、仮に失敗しても致命傷にならないかどうか。

 確かに2度の転換は、会社の未来を左右する大きな決断でした。ただ、決して無謀な挑戦をしたわけではありません。自社の資本力や開発力、ポテンシャルなど総合的に考慮し、「ここでいくべきだ」と判断しました。焦ることなく冷静に意思決定した結果、成功できたのです。

― 勝負どころを見極めるにはどうすればいいのでしょう。

 つねに経営に集中し続けることです。ほかには目もくれず、会社経営に没頭する。そうすれば、勝負勘が磨かれ、的確な判断ができます。

 逆に、よそ見をすれば勘がにぶります。たとえば経営者がゴルフに夢中になり、セミプロをめざしてしまったら、重要な経営判断を誤る可能性が高い。経営者は、複数のことを同時に追い求めてはいけないのです。

 もちろん私もゴルフはしますが、プレイ中も頭のなかは経営のことでいっぱい。リラックスしているときも、忘れることはありません。どんなときでも、100%経営に集中している自信がある。だからこそ、チャンスを見逃さないのです。

著名経営者

  • 株式会社スタジオジブリ

    鈴木 敏夫
  • 株式会社ジャパネットたかた

    髙田 明
  • 株式会社ディー・エヌ・エー

    南場 智子
  • 株式会社ドリームインキュベータ

    堀 紘一
  • 京セラ株式会社

    稲盛 和夫
  • 株式会社ファーストリテイリング

    柳井 正

プロフィール

  • お名前藤田 晋
  • お名前(ふりがな)ふじた すすむ