ニッポンの社長

ニッポンの社長 > 株式会社ファンケル 代表取締役 会長執行役員 池森 賢二

― 昨年に池森さんが代表に復帰して以来、シンガポールと台湾での小売事業の撤退、銀座旗艦店の改装など、多くの改革に着手しています。どのような基準で打ち手を判断しているのですか。

 将来の芽が出そうになく赤字を垂れ流している事業や、本道から外れている業務はやめる。新規事業は本業を傷つけない範囲で投資する。実際、これまでに立ち上げた新規事業のうち、4割くらいは撤退しています。「見切り千両」といいますが、撤退の見極めは上手だと思いますね。

 銀座旗艦店の場合、当初は改装を社外の業者に全面的に委託しようとしていましたが、それでは社員が育ちません。委託先に違約金を支払って、改装の企画からすべて社員にやらせました。専門家にまかせるというスタンスを改めて、自分たちの頭で考えようよと。

 これは社員教育だけでなくコスト削減にもなります。実際、コストは5分の1になりました。

― コスト削減を進める一方、御社は店舗スタッフのベースアップを実行しました。多くの企業が賞与の増額にとどまっているなか、これは難しい判断ではありませんか。

 難しくなんかないですよ。私が復帰したとき、以前に比べて店舗スタッフの質が落ちていたので、給与を月額2万円ほどアップしたのです。安月給ではモチベーションが上がらないし、いい人材も採用できない。スタッフには「自分を研鑽するために2万円を使いなさい」と話しています。

 店舗展開を始めた当時は、ノルマを設けず、スタッフはお客さまのためだけを考えて働くように伝えていました。でも私の引退後にノルマに近いような数字が設けられたため、店舗スタッフの離職率も上がっていたのです。

 そこでノルマを廃止して、2ヵ月間の研修を実施しました。すると、店舗スタッフも気持ちが安定して離職率が低下。売上も回復して計画値を上回っています。

― 人材育成の考え方を聞かせてください。

 会社づくりは人づくり。当社の傾いた業績を立て直すには、人材を根本から教育し直すしかありません。

 そこで昨年6月、全従業員を受講対象とした「ファンケル大学」を設置。半年で約3,000人が受講しました。もう一度従業員の自信を取り戻させるために、マインド教育から始めています。

 当社には若い社員が多いのですが、経営者が進むべき方向性と戦略を明確に示してこそ、人材は育っていく。この1年弱で社員たちも走っていく方向性がわかってきたのではないでしょうか。

― 幹部向けの「池森経営塾」では、どんな教育をしているのでしょう。

 経営塾の目的は、次世代の社長候補を輩出すること。他社の事例をテキストにして自分ならどう考えて行動するかを演習したり、外部の経営者をお招きして社員の育成について話していただいたりしています。

 また、私とのディスカッションも内容のひとつ。参加者たちに「経営やマネジメントで悩んでいることがあったら、すべて私が回答する」とうながし、経営の判断軸や着眼点などを教えています。

著名経営者

  • GMOインターネット株式会社

    熊谷 正寿
  • 株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)

    羽鳥 兼市
  • 株式会社堀場製作所

    堀場 雅夫
  • 株式会社大戸屋

    三森 久実
  • 株式会社ディー・エヌ・エー

    南場 智子
  • 株式会社リンクアンドモチベーション

    小笹 芳央

プロフィール

  • お名前池森 賢二
  • お名前(ふりがな)いけもり けんじ