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ニッポンの社長 > インタビュー > 理念・ビジョンを大切にする社長 > KLab株式会社 代表取締役社長CEO 真田 哲弥

― 会社員になったからこそ学ぶことができたネット技術の本質とはなんですか。

 「技術は個人に帰属している」ということです。これはオールドビジネスと対比すればわかりやすいでしょう。

 自動車、家電など旧来の産業では、技術は会社に帰属します。なぜなら、最初は社員個人の発想だったとしても、製品化する過程で組織を挙げてアイデアに磨きをかけ、その会社独自の技術に昇華させるプロセスが必要だからです。それは最終的に「特許権」として会社に資産計上されることになります。

 一方、ネットの世界においては、ゲームにしろWebサービスにしろ、コンテンツ開発のベースになっているのは、Javaなどのオープンなデファクトスタンダート(標準化技術)。会社規模の大小に関係なく、みんな同じ土俵の上に乗っているんです。

 そこで勝ち負けを決めるのはなにか。個人の力量です。だからネットの世界においては「技術は個人のモノ」なんです。

― 会社は技術をもっていない、ということですか。

 そうです。どれだけすばらしいコンンテンツやサービスを提供していても、技術がある優秀な頭脳が流出すれば、その会社は終わり。これが冷徹な真理です。だから、ネットビジネスの場合、「あの会社は、いいコンテンツを出すね」と形容するのは間違っています。「あの会社には、いいコンテンツを出す社員がいるね」というのが正しい。「企業はヒトなり」といいますが、その究極の形態がネットビジネスといえるでしょう。「何をやっているか」は、重要ではありません。「優秀な社員がいるのか」「どれだけいるのか」が、最大の競争力なのです。

― そうすると、人材採用が重要な経営戦略となりますね。御社ではどのような点を重視して採用しているのですか。

 意欲があって、性格がよく、才能豊かなこと。新卒であれ中途であれ、こうした人材を採用しています。行動力やバイタリティなどのキーワードで表現される「意欲」、素直やマジメといった人間的要素で構成される「性格」については、わかりやすい概念だと思います。しかし、残る「才能」については、少し説明が必要でしょう。才能には、主に2つの領域があると思います。ひとつは論理的に思考する力など、ロジカルな能力群。もうひとつはクリエイティビティや誰も考えつかないようなアイデアを出す発想力などの感性です。この2つの領域のほかに、人にかわいがられる人間的な魅力も、簡単にはモノマネできない才能のひとつといってよいでしょう。もっとも望ましいのは、ロジカルな能力と優れた感性を兼ね備えている人材ですが、どれかひとつでもいい。なにかズバ抜けた力のある人材は、「才能がある」といえますね。

― 優秀な人材を採用しても、育成を間違えれば宝の持ち腐れです。人材育成については、どのように取り組んでいますか。

 会社の受付にも掲げていますが、当社のモットーは、大器晩成ならぬ「大器早成」。早く、大きく成長するには、若いうちから責任ある経験を積むことが必要だからです。だから、「コレは!」と思った人材には、入社年次や年齢、性別に関係なく、大きな裁量を与え、思いきって仕事を任せます。個人の能力を開花させ、成長してもらうことこそ、企業成長の原動力なのですから。

― そうした人材育成哲学が生まれた経緯を教えてください。

 そう考えるようなったのは、学生時代に起業し、若いうちから社長業をしてきた私自身の経験に基づいています。学生なのに社長の名刺をもち、飛び歩いていた私のことを、おそらく多くの大人たちは、「なにも知らない若造のクセに」と冷ややかな目で見ていたでしょう。事実、その通り。もっているのは夢だけで、なにも知らない若造でした。だから、あらゆることを自力でやるしかなかった。そうやってもがいて、這いずりまわっているうちに、自然と知識やノウハウを習得することができ、社長業のなんたるかを学んでいきました。ともかく、やらされている仕事、上からいわれた仕事をこなしているだけでは、成長はありえません。「ほかにやる人は誰もいない」という状況下で、必死になって努力するから、成長できるんです。

著名経営者

  • MOVIDA JAPAN株式会社

    孫 泰蔵
  • GMOインターネット株式会社

    熊谷 正寿
  • エン・ジャパン株式会社

    越智 通勝
  • 株式会社セプテーニ・ホールディングス

    七村 守
  • 株式会社ホリプロ

    堀 威夫
  • 株式会社インテリジェンス

    鎌田 和彦

プロフィール

  • お名前真田 哲弥
  • お名前(ふりがな)さなだ てつや
  • 出身大阪府
  • 趣味音楽(オールジャンル)、ゴルフ、サーフィン、旅行
  • おススメ本『竜馬がゆく』司馬 遼太郎(著)
  • 座右の銘着眼大局、着手小局