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ニッポンの社長 > インタビュー > 世の中に独自の価値を提供する社長 > 株式会社ラインズ 代表取締役 大津 至久

― 大津社長が流通マーケティングに携わるようになった出発点を教えてください。

 まだコンビニエンスストアが黎明期だった昭和50年代に、ダイエーグループの子会社だったローソンに入社したのが最初です。店長からスーパーバイザー、エリアマネージャーになり、流通についての知識やノウハウを身に付けました。

 その後、FC契約を行う社長直轄の部署に異動になり、営業企画、経営企画、開発企画を経験。僕らは「中内功体制」だった最後の時代の社員でしたね。

― 流通マーケティングの面白さはどのあたりに感じましたか。

 お客様を相手にするビジネスですから毎日セオリーが違い、そこにはいつも来店いただく顧客との読み合いや心理戦の面白さがありました。品揃えや店舗戦略でいかに自店のファンを増やしていけるか。誤解を恐れずに言うと、お客様の嗜好をどうコントロールできるかを考えていくことが楽しかったですね。

 その後バブルが崩壊し、ユーザーの嗜好の多様化やライフスタイルの変化で、マーケティングの流れもマス広告から店頭プロモーションへと移行していきました。私がローソンからセールスプロモーション主体のマーケティング会社に移ったのもそうした頃で、セールスプロモーションやインストアマーケティングという売り場でのナビゲーションが重視されるようになったのです。

 ただ一方で、流通マーケティングにおける課題や問題点について自分なりに考えるようになったのもその頃でした。流通企業自体の力が強く独占排他的になり、消費者側に有無をいわせず商品を押し付けているような状況が目につくようになったと感じたのです。

 もっと消費者が主体的になれるマーケティングを実現したいという想いが湧き上がり、2008年にラインズを立ち上げました。

― 当時感じていた流通業界の問題点についてもう少し教えてください。

 消費者は選択肢があるように見えていても、実はそうではない。マスコミが先導して報道や情報番組を流すと多くがその方向に流れてしまう。それ自体は消費の楽しさを創るものですからよいのですが、消費者自身が考える余地がなくなりはじめていました。

 一方で大手流通企業は資本にものを言わせて低価格競争に打って出た。それが何を引き起こすかというと、優秀な生産者がどんどん倒れていく現実がある。昔はものづくり大国と呼ばれていた日本の技術力を駄目にしたのは、実は流通にも原因があるのではないかと思うほどです。

 安売りに頼らないマーケティング主導の販売を実現したい、将来の子どもたちが本来あるべき消費生活ができるように、流通業界の問題点を是正することで消費者を守りたいと思いました。そのためにも今は、日本の流通を変え、消費者のリテラシーを引き上げるべく道を歩んでくれる若いマーケティングプランナーを、自分が育てていきたいとも思っているんです。

著名経営者

  • 株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)

    羽鳥 兼市
  • テンプスタッフ株式会社

    篠原 欣子
  • GMOインターネット株式会社

    熊谷 正寿
  • 伊那食品工業株式会社

    塚越 寛
  • 楽天株式会社

    三木谷 浩史
  • 株式会社スタジオジブリ

    鈴木 敏夫

プロフィール

  • お名前大津 至久
  • お名前(ふりがな)おおつ よしひさ
  • 出身神奈川県
  • 血液型O型
  • 家族妻、娘二人
  • 尊敬する歴史上の人物平清盛、織田信長、坂本龍馬
  • 好きな食べ物辛いもの
  • 好きなミュージシャンジェフ・ベック
  • 休日の過ごし方家族と一緒に