株式会社リブセンス 代表取締役社長 村上 太一
理念を強く意識したことで危機を乗り越えられた
弱冠26歳。昨年11月、史上最年少の社長として東証一部に上場を果たしたのがリブセンス代表の村上氏だ。大学1年生だった2006年に起業。「成功報酬型の求人メディア」という新しいサービスが支持され、急成長を遂げた。今回は、企業理念や革新的なビジネスモデルが生まれた経緯、人材マネジメントなどについて、同氏に聞いた。
― 起業のいきさつを教えてください。
両祖父が経営者だったこともあり、幼い頃から社長になるという夢を持っていました。大学1年生だった2005年に、学内のビジネスプランコンテストに出場し優勝したことがきっかけです。
翌2006年2月に、リブセンスを設立。求人に応募があったときに料金が発生する成功報酬型の求人情報サイト「ジョブセンス」を立ち上げました。既存の求人媒体は情報を掲載した時点で料金が発生するので、企業にとっては費用対効果が低い。私たちの媒体のほうが支持されるはず。そう考えたからです。
― 業績は順調に伸びましたか。
いいえ。意気揚々と起業したのですが、サイトをリリースした4月の売上は1万円以下。その後も半年間はメンバーに給料を出せなかったほど、業績は振るわなかった。でも私を含め全員が学生だったので、生活はできました。それに、オフィスはビジネスプランコンテスト優勝の賞品として、インキュベーションセンターのスペースを無料で借りられました。
そのおかげでなんとか続けることができたのですが、先行きが見通せない。「もはやこれまで」という暗い気持ちになり、その年の末に、知り合いの経営者に「事業を買ってください」と打診したんです。でも、年が明けて、売却する話は撤回しました。
― なぜ、考えが変わったのですか。
なんのために会社をやっているのか。それを正月休みの間に改めて問い直したからです。私は、他人の幸せに貢献できたとき、自分が幸せだと感じる。ひとりでは、他人の幸福に大きな貢献をすることはできない。だから会社を興したのだと。
その考えは変わらないのだから、事業売却しても、また新しい会社を起こすだろうな、と。同じ苦労をするのであれば、ここで踏ん張ってみようと思ったんです。
プロフィール
- お名前村上 太一
- お名前(ふりがな)むらかみ たいち
- 出身東京都
- 出身校早稲田大学政治経済学部