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ニッポンの社長 > インタビュー > 編集者オススメ記事 > MOVIDA JAPAN株式会社 代表取締役社長兼CEO 孫 泰蔵

― では、どこから手をつけたらいいのか教えてください。

 砂漠のなかのオアシスのように、小さくてもいいから養分が循環する場所をつくることです。そうしたオアシスが広がっていけば、やがて森になる。そのとき、日本もシリコンバレーのように次々にベンチャー企業を輩出できるようになります。

 第一歩として、僕たちMOVIDA JAPANではスタートアップ段階のベンチャー約100社を支援しています。その100社のなかで、事業を続けられなくなった企業が出てきても、成功しているところへ起業家や社員が再就職できるようにサポート。100社のなかで人材が回るコミュニティをつくっているわけです。

 また、ヤフージャパンと組んで「大手企業に在籍したまま起業する」という試みも始めています。これは、起業したいヤフーの社員が渋谷のシェアオフィスで新事業に取り組み、うまくいけば新会社を設立。失敗したらヤフージャパン本社に戻れるというものです。

 どちらも、起業に失敗したら、その経験をほかの企業のなかで活かせる。リスクを大幅に低減し、起業を促す試みです。

― 再就職先や復帰先が保証されていると、リスクテイクして新ビジネスに賭ける起業家精神が生まれにくいのではありませんか。

 その通りですが、僕はそれでいいと思っているんです。なぜなら、リスクテイクの精神が成功の第一の要因ではないから。

 サッカーにたとえて説明しましょう。ブラジルは「W杯で優勝できるチームを3つぐらいつくれる」といわれるサッカー大国です。そうなった理由として、「ブラジルは貧しい人が多く、ハングリー精神がある。サッカー選手になるぐらいしか金持ちになる道はないので、子どもたちが必死で練習する」という説があります。

 でも、それがホントならアフリカや中南米の貧しい国もサッカー大国になれるはず。でも、そうはなっていない。ハングリー精神だけでは説明できないんです。では、なにが理由かといえば、ブラジルにはサッカーが文化として根づいていること。街角で子どもたちにサッカーを教えているのがW杯出場経験のある元代表選手だったりする。そうして文化が継承され、より豊かになり、いまのサッカー大国の形成につながっている。

― シリコンバレーには起業が文化として根づいていて、ベンチャーの聖地になっているわけですね。

 はい。シリコンバレーにリスクテイクの精神にとんだ起業家や、ハングリー精神おう盛な人材がいるのは確かです。でも、そういう人だけが成功しているわけじゃない。軽い気持ちで起業して、思いつきを事業化したら成功した、なんて例がいっぱいあるんです。

 日本でも、若い人たちがもっと気軽に起業したらいいんです。ロックバンドを組むように、気のあう仲間をみつけて会社をつくる。少額の資本で、小さな市場をねらう。「ふだんは公務員として働き、週末だけ起業家をやる」なんてのもアリ。そんな “カジュアル起業”で成功できるような時代になってきているからです。

著名経営者

  • 株式会社ホリプロ

    堀 威夫
  • マネックスグループ株式会社

    松本 大
  • エン・ジャパン株式会社

    越智 通勝
  • 澤田ホールディングス株式会社

    澤田 秀雄
  • 株式会社セプテーニ・ホールディングス

    七村 守
  • 京セラ株式会社

    稲盛 和夫

プロフィール

  • お名前孫 泰蔵
  • お名前(ふりがな)そん たいぞう