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ここまでアグレッシブに取り組む理由は何でしょうか。
社会に溢れる「不」を解消し、人々を笑顔に、幸せにすることこそ、私たちが事業を遂行する目的だからです。
『HOME’S』は、ユーザーの住まい選びにおける不便や不利な状況を解消するために始めた事業です。住まい選びは、一般的に生涯収入の約3分の1を割く人生最大の買い物であると同時に、子どもの教育や親の医療・介護、出会えるコミュニティ、通勤時間による働き方など、家族の人生に与える影響が非常に大きな選択です。住まい選びとは、単なる「物件選び」ではなく、その先の「人生や暮らしを選ぶ」ことなのです。
しかし、不動産業界は売り手にとって都合のいい情報しか出さないことが多く、まだまだ消費者への情報開示が不十分な状態にあり、ユーザーは何を信じていいかわからない「情報の非対称性」が存在しています。この状況を変えたいと考え、創業以来奮闘してきました。私たちは日本にあるすべての物件情報をデータベース化することで、不動産業界の透明化にチャレンジしています。
― 業界における御社の役割とは何だと思いますか。
現代にフィットしない古い規制や商習慣を打ち破り、不動産業界とユーザーをハッピーにすることです。日本最大級の不動産ポータルサイトを運営している当社には、ユーザーや不動産会社の声がたくさん集まります。それを不動産業界や国に届け、改革に取り組んでいきます。
― もう少し詳しく教えてください。
日本人が生涯で住み替える平均回数は4・5回だとされますが、進学、就職、転職、結婚、子育て、退職といったライフステージの変遷に比べ、転居回数が少ない。そこには、多少不便でも我慢して同じ家に住み続けているという実態が隠されています。そのネックのひとつになっているのが転居コストの高さ。通常、転居時には、敷金、礼金など家賃3~5ヵ月分に相当する初期コストがかかります。これを無くし、月額の家賃に上乗せして一定金額を支払う「平準化払い」にすれば初期コストの負担が軽減されるため住み替えがしやすくなり、転居回数が増え、人々の不便が解消されるはずです。
また、居住する目的以外で、ライフスタイルの多様化や社会的ニーズに応じて住宅を利用する「用途開発」を加速化させる必要があると思います。そのためには、例えば、特定の趣味をもった方向けのシェアハウス、マンションの空き室などで開業できる小規模保育所に適した物件、高齢者のデイケアセンター向きの物件など、社会ニーズの高い物件情報の提供に力を入れるべきです。ちなみに『HOME’S』では小規模保育所をつくるための規制に適合した物件を検索できるシステムの提供なども行っています。
日本は人口が純減する時代に移行し、世帯数も2019年度がピークアウトだと予想されているなか、総務省統計局がこの夏に発表した「土地統計調査」では、全国の空家が約820万戸に上る、というデータが明らかになりました。賃貸物件に換算すれば、じつに7軒に1軒が空室という状態。実際、地方に行けば空室率が20%に迫るエリアすら存在します。民間の力だけでは、こうした人口減少にはあらがいようがありません。しかしこのように、住み替え回数の増加と用途開発の加速など、業界の改革を行うことで、不動産マーケットの拡大に繋がり、さらに日本経済の活性化にも貢献できると考えています。
プロフィール
- お名前井上 高志
- お名前(ふりがな)いのうえ たかし
- 出身神奈川県
- 身長175cm
- 体重74kg
- 平均睡眠時間5時間
- 平均起床時間7時
- 趣味仕事、陶芸、そば打ち、アウトドア、家族サービス
- おススメ本『ビジョナリー・カンパニー』ジェームズ・C・コリンズ、ジェリー・I.ポラス(著)
- 購読雑誌WEDGE
- 家族妻、息子1人
- 今までに訪れた国20ヵ国
- 座右の銘利他主義
- 尊敬する人稲盛和夫、坂本龍馬
- 好きな食べ物うに
- 嫌いな食べ物特になし