ニッポンの社長

ニッポンの社長 > 日本食研ホールディングス株式会社 最高経営責任者 代表取締役会長 大沢 一彦

※下記は経営者通信34号(2015年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

社員は家族であり株主

― ここでも他社と違う方法で伸びているわけですね。では非上場を貫いている理由を教えてください。

 知らない人が株をもっていると、うるさいからね(笑)。だから、私たち役員と社員が保有しています。退職したら会社が買い戻して、現役社員に売っています。もし業績が傾いたら配当金は減るし、株価も下がる。すると、社員が経営意識をもつようになります。

― 「会社は誰のものか」という議論がありますが、社員を株主にすれば構造はシンプルになりますね。

 株主も社員も近いほうが安心です。私の家内は70歳ですが毎日出勤していますし、子ども4人も働いています。社員の子どもたちもたくさん活躍中です。兄弟2人と奥さんまで入った社員もいますよ。

― どうやって、そのような家族的な組織を実現したのでしょう。

 社員旅行や文化祭、家族を招いての慰安会など、さまざまな取り組みを行っています。設立40周年のときは神戸に約3700名の従業員が集まりました。国内の社員は3日間、海外の社員は5日間の旅行。みんなに4万円ずつ小遣いを出して、総額で8億円くらい使いました。

― 社員旅行に8億円もの予算を組んだのですか。

 もともと予算制度はありません。事前に決めても、どうなるかわかりませんから。「必要になったら使う」というやり方で、創業から43年間ずっと黒字。昨年もアメリカ工場に30億円、千葉工場に45億円ほど投資しました。そもそも社員が株主なので、みんなに決算書を見せて考えさせています。

― 多くの創業経営者にとって、後継者の育成は悩みのタネです。御社の取り組みを教えてください。

 いまの社長については、入社から10年以上かけて全部署を経験してもらいました。彼が副社長になってからは1年間、社長室で毎日一緒に仕事。私がどう考えて意思決定をするのか、目の前で吸収してもらうためです。

 その後、2009年に社長を交代。実務的な部分はまかせていますが、ダメなものはダメと指摘する。そして、急成長しないように気をつけています。孫に引き継いでいくためには、安定的な成長が大事ですから。

― すでに次の次まで見すえているのですか。

 ええ。社長は心配ないので、いまは4人の孫の教育に力を入れています。座学はもちろん、会社や工場を見学してもらって。特に高校一年生の孫は、あっちこっちに行っていますよ。今年だけでも千葉本社の工場、東京支社、大阪支社、沼津の営業所を私と一緒にまわりました。もともと2歳のときから千葉本社工場の入社式であいさつさせていますからね(笑)。

― まさに経営の英才教育ですね。

 ただし、海外留学はさせません。今治でアメリカ流の経営をふりかざしても成功しないでしょう。

 経営者は偉くなってはいけない。仕事で汗をかかずに理屈ばかりを偉そうに語ったら、社員がついてきません。アメリカなんて行かなくても、田舎で商売の本質は学べます。田舎風の経営で海外展開をすればいいんです。

― 今後はグローバルに展開していくのですか。

 約30年前から進出していますよ。すでに台湾、香港、韓国、シンガポール、タイ、ドイツ、イギリスに支店や事務所を展開。アメリカと中国では子会社を設立し、現地工場で生産しています。

 さらに、国内でも拡大する余地はあります。愛媛県民のひとりあたりの売上額は全国平均の2倍で、最近も伸びているからです。

著名経営者

  • 株式会社ネクシィーズ

    近藤 太香巳
  • 株式会社壱番屋

    宗次 德二
  • 株式会社ディー・エヌ・エー

    南場 智子
  • 株式会社アシックス

    鬼塚 喜八郎
  • 株式会社スタジオジブリ

    鈴木 敏夫
  • 澤田ホールディングス株式会社

    澤田 秀雄

プロフィール

  • お名前大沢 一彦
  • お名前(ふりがな)おおざわ かずひこ