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ニッポンの社長 > SBIホールディングス株式会社 代表取締役執行役員CEO 北尾 吉孝

※下記はベンチャー通信24号(2007年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

【インタビュー中編】右手にソロバン、左手に論語

― 最近ベンチャーと言うと、すぐにお金儲けのイメージに直結している気がします。

 悲しいことです。戦前の日本の教育では、人間学の教育というのがあったんです。人としていかに生きるべきかを学ぶ場があった。でも、戦後になって、そういう教育もなくなり、しかも家庭でのしつけもない。学校のテストさえ良ければ、子供は学校でも家庭でも褒められる。

 でも、大事なのは、テストの点数よりも、人間としての品位なんです。どれだけ優秀な子供でも、間違った考え方を持っていれば、それは叱り飛ばさなければいけない。そこが無くなってしまったんです。

― なぜ無くなったのですか?

 それは戦後のアメリカの占領政策によって、日本が弱体化させられたからです。アメリカは、戦争を通して日本人の精神力の強さを思い知った。神風特攻隊や人間魚雷回天など、日本人の精神力の強さに心底驚いたんです。そこでマッカーサーをはじめとしたアメリカ占領軍が、日本人の精神の弱体化のため、教育を今のような“誇りなき教育”に変えたんです。

 近代日本資本主義の父とも呼ばれ、生涯で500社以上の会社を創った渋沢栄一氏は、“右手にソロバン、左手に論語”と言っていました。常に倫理的価値観を持ちながら、一方で科学的経営も同時に実践することの大切さを説いていたんです。

 最近のベンチャー経営者と呼ばれる人たちの中には、“志”を自らの“野心”と履き違えて、勘違いしているような輩が多い。そんな経営者は、本物の事業経営者とは呼べないと思いますね。

 一時期、堀江さんが世の中で脚光を浴びた時がありましたが、僕は本当に信じられなかった。マスコミも財界も、こぞって彼を持ち上げた。日本中が狂っていたとしか言いようがない。僕は彼がやったこと、例えば1対100の株式分割などは、本当に許せない行為だと思っていましたから、証券市場の清冽な地下水を汚す行為だと思って、義憤を覚えずにはいられなかった。だからフジテレビ買収話の時、僕は立ち上がったんです。しかし、僕が立ち上がった意図は、マスコミを通じて世の中の人には全く理解されなかった。今の日本の精神文化のお粗末さにはビックリしましたね。

 最近の日本のテレビ番組は、子供向けの暴力番組など本当にくだらないものばかり。一億総白痴化への道を歩んでると思います。またニュース番組では、実の親が子供に虐待するなんていう信じられないニュースが流れる。そんな親を生み出したのは、日本の教育がダメだからです。人としていかに生きるべきかを教えていれば、そんな親になることなんてないでしょう。

著名経営者

  • クオンタムリープ株式会社

    出井 伸之
  • シダックス株式会社

    志太 勤
  • 株式会社ネクシィーズ

    近藤 太香巳
  • 株式会社大戸屋

    三森 久実
  • ヤマト運輸株式会社

    小倉 昌男
  • 澤田ホールディングス株式会社

    澤田 秀雄

プロフィール

  • お名前北尾 吉孝
  • お名前(ふりがな)きたお よしたか
  • 出身兵庫県
  • 出身校慶應義塾大学