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ニッポンの社長 > インタビュー > 理念・ビジョンを大切にする社長 > ワタミ株式会社 代表取締役社長・CEO 渡邉 美樹

※下記はベンチャー通信29号(2007年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

【インタビュー前編】起業家は自分を厳しく律せよ

― ワタミは積極的に環境問題に取り組んでいますね。

 環境問題に取り組むのは、今や企業として当然の責任だと思っています。私が環境問題に取り組むようになったキッカケは、創業当時にまでさかのぼります。今から18年前、当社は「KEI太」というお好み焼きの宅配事業を手がけていました。その宅配事業では保温性を高めるために発泡スチロールの容器を使っていました。そして、私はこの容器が燃えないゴミとして捨てられるのがとてもイヤでした。そのままゴミとして地球に埋められる。それが我慢なりませんでした。

 そこでお客さまから容器を引き取らせてもらって再資源化しました。これは非常にコストがかかりましたが、私は経済効率よりも地球環境の方を優先したかったので、この決断をしました。

― その後、多店舗展開を行う外食企業では初めてISO14001認証も取得しましたね。

 実は外食産業では製造業と違い、ISO14001を取得するメリットはうすいと考えられていました。しかし当時、当社ではアルバイトが約6000人働いていました。ISOを取得すれば、その6000人のアルバイトの行動や習慣が変わります。そして彼らが家に帰れば、その世帯の行動や習慣も変わる。そう考えると、かなりの影響力になると思って取得することにしました。現在では約2万人のアルバイトに取り組んでもらっています。

 人類はその長い営みの中で、今まで自然と共生してきました。それをたった一世紀くらいの企業活動で台無しにしてはいけない。そもそも全ての企業活動は、経済効率よりも地球環境を優先させるべきなんです。地球環境を邪魔しないようにして企業活動をするべきだと思っています。

― 近年、様々な企業が環境問題に取り組み始めていますね。

 それは非常にいいことだと思います。しかし、大事なのは企業トップが本気で環境問題に取り組む意志があるかどうかです。環境ブームに乗って、見せかけの取り組みをしてもまったく意味がない。企業トップが目先の損得勘定ではなく、心の底から信じて動かないといけないんです。そのためには企業トップ自身が自分の生活を律するところから始めるべきだと思いますね。

 私は十数年前から社員に対して、環境についてのメッセージを毎月の従業員に送る手紙やビデオレターなどの中で伝えています。そのメッセージの本質は十数年経った今でも何も変わっていません。企業トップが本気にならないと、現場で働く社員にも伝わりません。私は、ゴミの分別をしない人やタバコのポイ捨てをする人を生理的に許せない性質なので、ワタミの環境問題に対する取り組みは本気なのです。

― 話は変わりますが、最近ベンチャー企業の不祥事が多いですね。それについて、渡邉さんはどう思いますか?

 ベンチャー企業というのは非常に難しいと思います。一度うまくいっても、それを継続するのが非常に難しい。うまくいった後にどうするかが大事です。うまくいくと、その起業家を周りがおだてるようになる。そして、次第に起業家の気持ちに緩みも出始めて、「うまくいっているんだから、これくらいのことは許されるだろう」と考えて、自分に対する厳しさがなくなっていく。こうなってしまうと、そのベンチャー企業の業績は下り坂になっていきます。

 豪華な別荘を買ったり、自家用ジェットを買ったりするのは、それ自体は悪いことではないと思います。しかし、それによって自分に対する甘さが出てしまえば起業家としては失格でしょうね。うまくいっている時こそ、自分自身を律する。そういう厳しさが起業家には必要です。

― うまくいっても、自分を律することが“できる起業家”と“できない起業家”の差はどこにあるんでしょうか。

 それはその起業家がどこを目指しているかの差だと思いますね。つまり、どこに起業家としてのゴールを定めているのかということです。自分の私利私欲を満たすのがゴールなのか、それともより上位概念である社会貢献にゴールを定めているのか。

 起業時の動機が“自分自身が物質的に豊かな生活をしたい”でもいいんです。でも会社がうまくいって会社規模が大きくなっても、そんな動機のままだと会社は次第にうまくいかなくなります。そこで気づかないといけない。物質的な豊かさ以上の価値が世の中にあるということを。もっと大切なものに気づく。お金では買えない価値に気づかないといけないわけです。そこに気づけば、会社はより発展し、継続的に繁栄させることができるでしょう。

― 渡邉さんの場合はどうでしたか?

 私も途中で、その大切なものに気づきました。私も起業したいと考えた当初の動機は、物質的な豊かさを得たいためでした。小さい頃、会社経営をしていた父の事業がうまくいかなくなり、裕福な家庭から一転、非常に貧しくなりました。そういった経緯もあり、物質的な豊かさへの憧れが私の中に強烈にあったんです。

 しかし、大学時代に擬似会社のようなものを友人たちと運営して、徐々に考えも変わってきました。いろんな葛藤を通して、自分の中での考えが変化していったんです。自分の私利私欲のためだけに会社を経営していいのかと。

 そして、ワタミが店頭公開するときに、個人で7億円もの借金をしました。株式上場をするにあたり、自分の持ち株比率を下げないように自社株を買う必要があったんです。その後、その7億円の借金を完済した時、私の物質的な欲はなくなりました。10代の頃から続いていたお金の呪縛から解放されたんです。今ではワタミを地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループにするべく、日々その理念に向かって努力しています。個人的な金銭欲はまったく無くなりましたね。

著名経営者

  • 株式会社ファンケル

    池森 賢二
  • 澤田ホールディングス株式会社

    澤田 秀雄
  • 株式会社ファーストリテイリング

    柳井 正
  • テンプスタッフ株式会社

    篠原 欣子
  • 株式会社堀場製作所

    堀場 雅夫
  • 株式会社サイバーエージェント

    藤田 晋

プロフィール

  • お名前渡邉 美樹
  • お名前(ふりがな)わたなべ みき
  • 出身神奈川県
  • 身長182cm
  • 体重68kg
  • 平均睡眠時間4時間
  • 平均起床時間5時
  • 趣味屋久島登山
  • おススメ本論語
  • 購読雑誌経済誌等
  • 家族4名
  • 今までに訪れた国約30ヵ国
  • 座右の銘夢に日付を
  • 尊敬する人マザー・テレサ
  • 好きな食べ物有機野菜、納豆、ワタミの食事
  • 嫌いな食べ物特になし