― 音楽教室を開いたきっかけを教えてください。

　音大の学生だった当時は、教室を開きたいという願望がとくにあったわけではなかったんです。ピアノに加え、大学ではエレクトーンにも力を入れていて、プロの演奏者になりたいという想いが強くありました。

　大学を卒業して、ひとまず大手楽器メーカーの音楽教室で指導をしていたのですが、教室のスタイルはグループレッスンが主体でした。そこで、子どもにとって楽しいはずの音楽とのふれあいが、親同士の無意味な競争に終始している現実に直面したのです。

　当時、私は近所の方から頼まれて自宅でもピアノを教えていたのですが、音楽の楽しさを伝えることのできる個人レッスンの教室を自分で開きたいと思うようになっていったのです。

― 開業当時、生徒は何名でのスタートだったのですか。

　開業当時の生徒数は30名程度だったと記憶しています。当時は時代の流れもあって、ピアノを習いたいというお子さんが多く、教室のことは口コミでどんどん広まって行きました。

― 開業以来、ずっと通っている生徒さんもいると聞きました。長く支持されている秘訣を教えてください。

　どうでしょうか…。自分では分かりませんし、ただ楽しくやっているだけなんですけど（笑）。そのなかで言えるとすれば、私自身、教えることが大好きだったということでしょうか。

　教えることにやりがいを感じるし、その生徒さんのことが大好きなんですよ。健康のこととか、結婚の相談とか、ちょっとした人生相談に乗ってあげたり。生徒さんとそうしたお付き合いをしていくことが好き。そこに生きがいを感じるんですよね。