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エステー株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長(CEO) 鈴木 喬

社長は失敗しても思いつめず ニコニコしていればいいんです

「消臭ポット」「消臭力」「脱臭炭」…。快適な生活を演出する商品を開発し、新市場を切り拓いてきたエステー。会長の鈴木氏は1990年代後半に業績が低迷していた同社を回復へと導いた立役者だ。改革に反発する幹部を押しきって、工場や在庫をスリム化。自ら旗振り役となってヒット商品を生み出し、2005年に創業来最高益を更新。現在も売上を伸ばし続けている。その剛腕ぶりの背景にある経営哲学を聞いた。

※下記は経営者通信35号(2015年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「責任なんて問わないから 早く在庫を捨てろ」と厳命

― 1998年の社長就任から6年で悪化していた業績を立て直し、2005年3月期には創業以来最高益となりました。その要因はなんでしょう。

 小さな失敗はいっぱいしてきましたけど、致命傷になるような失敗はなかった、ということでしょう。会社にとって致命的なのはバランスシートが不健全なこと。つぶれる会社は借入金が多かったり、不動産投資をしていたり、在庫がたくさんあったりと、ぶよぶよになっています。

 社長に就任したころのエステーもそうでした。だから、就任してすぐ掲げたスローガンは「コンパクトで筋肉質の会社」。具体的には商品の絞りこみ。販売品目を890から280まで削減した。5つあった工場も3つに集約しました。役員は猛反対。それを押しきって断行したんです。

― どうやって反発をおさえたのですか。

 役員には「家に帰ってしばらく寝ていてくれ」と声をかけ、数を半分に減らしました。ケンカするなら相手が少ないほうがラクですからね。相手が半分になったら抵抗も弱くなりました。

 社員に対しては、業績悪化を招いた責任を問わないこと。たとえば在庫減らし。「不良在庫を捨てろ」と命じても、最初は誰も実行しない。売れない商品をつくり、放置していた責任を問われるのがこわいからです。「責任追及なんてしないから」といっても信じてくれない。

 そこで、自ら倉庫に行って、在庫の商品ケースを床にたたきつけた。「早く捨てろ」って、どなりながら。そんなパフォーマンスのおかげで、ちらほら捨てる例が出てくる。なんのおとがめもない。それでみんな安心して、後に続く。こうしてようやく不良在庫を一掃できたんです。

著名経営者

  • シダックス株式会社

    志太 勤
  • 株式会社セプテーニ・ホールディングス

    七村 守
  • 株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)

    羽鳥 兼市
  • 伊那食品工業株式会社

    塚越 寛
  • GMOインターネット株式会社

    熊谷 正寿
  • 株式会社スタジオジブリ

    鈴木 敏夫

プロフィール

  • お名前鈴木 喬
  • お名前(ふりがな)すずき たかし