― 御社の業務プロセス改革における具体的な事例を教えてください。

　日本を代表する機械メーカーからの依頼で、業務改革を伴ったシステムの再構築プロジェクトの一環として、グローバル生産部品表の業務改革から運用定着までを請け負った例があります。狙いとしては、新たな業務プロセスを生み出しながら部門間の情報連携を実現し、ITシステムの最大活用を目指すという内容でした。

　依頼時にお客様が抱えておられた最大の悩みは、改革プロジェクトにおける「業務運用構想時の不備」によるシステムリリースの延期でした。実は当社の参画前に大手コンサル会社と系列IT会社がコンサルからシステム作りまでの整備を終えていたのですが、業務で上手く使えないということでした。

　そこで私たちは、その企業風土や運用文化、現状フローなどをすべて確認し直すところから着手し、実際に必要な機能に優先度をつけ、段階的なリリースに向けての業務運用を作り込んでいきました。お互いの対話を促すために、生産現場に当社チームのデスクを準備いただくなど、お客様と一緒にリリースに向けた手順や試行運用を繰り返し、より実態運用に近い場面想定を行いながら構築を進めました。

― なぜ御社ではそうしたサービスが可能なのですか。

　当社は長年、製造業の側で業務改革を行ってきた人材や、製造業向けIT課題の解決に取り組んできた人材が協力し合って、業務改革に取り組んできました。経営とIT、現場業務が三位一体となって課題解決に取り組んできた経験を、現代のニーズに焼き直して対応できることが大きいと思います。

　当社は、2016年に10年目を迎えます。これまで、ガムシャラに走ってきましたが、現在の厳しい環境で生き残っていくには、自らの強みを明確にし、お客様に、当社のコンセプトを理解していただけることが重要との思いから2013年に経営基盤と事業基盤の整備を行い、新たに理念を構築しました。

　導き出した理念は、 for the customer 「お客様とともに考え、解決する」です。俯瞰的な業務プロセス改革を進めるために、実態の把握や解決策の検証を図り、その定着に向けてお客様と丁寧な対話を行っていきたいと考えています。

― 御社の今後のビジョンについて教えてください。

　日本の製造業の業務プロセス改革を牽引し、実現する力を備えたプロジェクトマネージメント・カンパニーを目指していきます。

　プロジェクトマネージャとは、コンサルタント、業務SE、開発SE、運用SEなどのメンバーを使いこなしていく立場の人材です。各人材を適材適所に配置し、ベストパフォーマンスを導き出すマネジメント力が必要です。

　案件ごとに、当社ならではの優れた能力をもつプロジェクトマネージャが、製造業の業務プロセス改革を牽引していきます。その上で、プロジェクトはあくまでお客様主体のものであるという立ち位置を尊重し、当社は黒子に徹する中で、お客様自身の自立を促すことが最終目的であると思っています。理想は高くもち、日々切磋琢磨しながら日本の製造業が強くなる手助けをしていきたいですね。