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ニッポンの社長 > インタビュー > 顧客主義を追求する社長 > 株式会社富士薬品 代表取締役社長 高柳 昌幸

― もう一方の柱である、医薬品製造事業について教えてください。

 配置薬と調剤薬局の販路が広がっていったことで、1986年に富山に工場をつくり、製造事業をスタートしました。1991年からは医療用医薬品の自社開発を開始し、痛風の治療薬「トピロリック錠」の新薬開発に成功。2013年から同薬の製造販売を開始したほか、現在、第二の自社創薬の医療用医薬品も申請済みで、最終承認待ちとなっています。

 よくアパレルメーカーの業界で、企画から製造、小売までを一貫して行うビジネスモデルをSPAと呼んでいますが、当社はその先駆けともいえるモデルを、既に1980年代には確立していたことになります。しかも、委託工場ではなく自社工場ですので、本当の意味での製販一体を確立しており、さまざまな医薬品を安定供給できます。自社で製造することで、配置薬やドラッグストアの品揃えにフレキシブルに対応できる点でも、効率的な商品供給が可能になるわけです。「自社で開発して自らつくり、販売する」という高収益型の事業モデルができあがったということです。

― 業界常識を打ち破り、画期的なビジネスモデルを確立できた要因はなんでしょう。

 ひとつは私どもの会社に、「現状に甘んじることなく、常に新しいものにチャレンジしていく」気風があった点があげられるでしょう。現状に甘んずることなく、新たな事業に果敢に挑戦することで得られた成長といえます。医薬品業界で、こうしたビジネスモデルを有しているのは当社だけです。これからも社会やお客さまのお役に立てる「複合型医薬品企業」として、さまざまなサービスを生み出していきたいと考えています。

― 具体的に検討している新たなサービスの構想をシェアしてください。

 たとえば、配置薬とドラッグストアの「2wayチャネル」を活かして、当社の救急箱を置いていただいているお客さまに向けて、ドラッグストアの商品や付随するサービスをお届けするプランを模索しています。

 高齢化社会が進むいま、「買い物難民」という言葉があります。外へ出向くことなく、欲しいものが即座に自宅に届く仕組みづくりが求められているのです。当社には、全国の営業スタッフが培ってきた、お客さまとのFace to Faceでのコミュニケーションによる信頼性があります。加えてドラッグストアの店舗ももっているわけですから、ご要望に応じて、すぐに商品をお届けするという、お客さまに喜んでもらえる仕組みづくりが可能だと思うのです。

 昨今よくいわれる、「ラストワンマイル」ともいうべき、お客さまのいる場所への到達手段を当社はもっていますから、それをどう活かすかが、今後の新たなビジネス展開の大きなキーになるはずです。ドラッグストアで商品を購入いただくのはもちろん、配置薬販売員や調剤薬局からの情報提供、商品のお届けによる利便性の向上など、社会を支える大事なインフラのひとつとして貢献していきたいですね。

著名経営者

  • GMOインターネット株式会社

    熊谷 正寿
  • 株式会社セプテーニ・ホールディングス

    七村 守
  • シダックス株式会社

    志太 勤
  • 株式会社スタジオジブリ

    鈴木 敏夫
  • エステー株式会社

    鈴木 喬
  • 株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)

    羽鳥 兼市

プロフィール

  • お名前高柳 昌幸
  • お名前(ふりがな)たかやなぎ まさゆき