― なぜこのような事業を立ち上げようと思ったのでしょうか。

　自分の可能性にフタをすることなく、実現したい未来へ向けて生きる人が増えて欲しいと思ったからです。私は小学校時代をソ連で、中学校をアメリカで過ごして日本に戻ってきたのですが、偏差値教育の中で、偏差値の高い学校が良い学校で、良い高校や良い大学へ行ければ、いい就職が出来て幸せな人生を歩める、という方程式みたいな考えに、どこか違和感をもちました。

　確かに偏差値の高い大学へ行ければ、大手有名企業へ就職しやすくなるかもしれません。しかし、そもそも自分は何をしたいのか？自分の人生をどう生きるのか？という根本的な問いにしっかりと向き合うことなく、進路を選んでいいのだろうか。もっと、自分がどう生きていきたいのか、何をやってみたいのかを考え、語り合い、深め合う場があったら、どれだけいいだろうかと思ったことが、現在のはぐくむに通じています。

　そして、そうした場作りにおいて、可能性にフタをせず、できることはなんでも考えていくことを、私は大事にしています。大風呂敷を広げて、自分の想いを全部出していくと、いくつかのピースから、自分の情熱の源泉が見えてくるものです。そうした内発的動機に基づいてイキイキと働く人を増いですね。

― 日本と海外、両方で生活してきた経験をふまえて、現状の日本での就職活動では何が問題だと思われますか。

　内定をとるために就職活動をするのではなく、何の為に働くのか？　何の為に生きるのか？　をしっかりと考え、深めていける機会が少なすぎるのが問題だと思います。そうしたことを考える機会が少ないが故に、こうすれば受かるという様なスキルやノウハウに頼ってしまう攻略本思考の学生が多くなり、入社してからも、その会社、その仕事である必要性が特別なく、仕事に身が入らなかったり、転職を繰り返してしまう遠因になっていると感じています。そういう意味でも、就職活動が始まる前から、様々な大人に出会い、仕事を通じてどの様な未来を実現したいのかをしっかりと考え、行動していける機会の創造が今、必要だと思います。

― 最後に今後の展望を教えてください。

　これからの時代、企業にとって本当に必要な人材とはいかなる人材でしょうか？右肩上がりの時代で作れば売れた時であれば、言われたことだけをやる人で良かったかもしれません。しかし、今、求められているのは、何らかの問題意識を持ちながら、課題を発見し、課題解決の為のアクションを自ら考えていける人材なのではないでしょうか。

　暗記型ではなく、自らの頭で考え、しっかりと行動できる自走型の人材。現実と向き合い、未来に変化を生み出せる人達こそが今後、繁栄していく企業、国家には必要だと思っています。そういう意味でも、はぐくむを通じて“正解”のない問いと向き合い、悩み葛藤しながらも、しっかりと行動を起こし、一歩ずつ現実を変化させていける有能な人物をはぐくんでいけるコンテンツ、プログラムの企画開発、運営を更に強化していきたいと考えています。一隅を照らす人材をはぐくむ、日本を代表する教育企業になっていきたいですね。