― 御社の事業内容を教えてください。

　県からの指定を受けた福祉サービス事業者として、障がい者の方々の就労支援を行っています。福祉サービス事業所である「レインツリー」を運営して、一般就労がなかなか難しいと思われる障がい者に働き場所を提供する就労継続支援B型の事業です。利用者には室内での軽作業や屋外でのガーデニング作業に従事してもらっています。

― どのような障がい者の方が利用しているのですか。

　統合失調症や双極性障害（そううつ病）やうつ病といった精神障害の方や、知的障害、自閉症や広汎性発達障害の方などが多く利用しておられます。

　いまはうつ病などの精神疾患を患う方が非常に増えています。病院やデイケアで治療を受け、症状が落ち着いた後、社会復帰を目指していく上でこうした事業所を利用される方は多くおられます。当所でも病院や自治体の相談窓口などからの紹介で来られる方が多く、いま2つの作業所で40名ほどの利用者を受け入れています。

― 御社の作業所としての特長はどのような部分がありますか。

　私たちの「レインツリー」では、利用者にガーデニングの作業に従事してもらっている点が大きな特長です。室内での軽作業を行う一方で、毎日10名ほどの方がお客様の家に出向いて庭の手入れなどのガーデニングの仕事を行っています。

　当所のコンセプトとして位置付けているのが、「働いて元気になろう」というもの。ふつう精神疾患を患った方の場合は、「元気になってから働く」という考えになるのが一般的ですが、当所の場合は反対で、働くことで元気になってもらおうという考え方なのです。心の問題はいったん横において、短い時間でも体を動かし働いてみることが大事だと考えています。「働くことはしんどくて大変で、障がいのある人には無理だから、心身が元気になってから働いてもらおう」…そう考えがちですが、私たちはまったく逆なのです。

　そのコンセプトを実現するのが、当所が行っているガーデニング作業です。これを作業療法のひとつと位置づけ、「ガーデニング療法」と呼んでいます。

― どのような効果があるのですか。

　ガーデニングは言うまでもなく、屋外で緑に囲まれて行う作業です。外に出て心地良い風にふれ、陽を浴びながら自然の中に身を置くことで人間の五感は大いに刺激されます。植物や土にふれ、自然の匂いを嗅ぐことによって自律神経や副交感神経が良い状態へと作用されていくのです。体内時計が調整され、気持ちが沈んでいるときには意欲が高まり、高ぶっている時には落ち着くことができます。身体を動かして汗をかくことは代謝を促し、免疫力を上げます。また、お客様と接し、喜んでいただけることや、同じような苦しみを持つ仲間との共同作業で、達成感が得られます。それらが心身に非常に良い影響を与えますね。