― 独立・起業支援に力を入れるようになった理由は何ですか。

　友人たちの独立や起業をサポートする案件がいくつか重なったときに、お客さまの成長を導いていける、そして自分も一緒に成長していける仕事だと気づいて大きな喜びを感じられるようになりました。ベンチャーの気概をもつ同世代の起業家が成功するために独立の支援や経営相談に乗っていくことは、非常に意義のある仕事だと感じていますね。

― 起業をサポートした事例についていくつか教えてください。

　IT技術やプログラミングを中高生に教えるビジネスモデルが話題となっている「Life is Tech！」（運営：ライフイズテック㈱）は大学の後輩が立ち上げた事業です。私も税理士としての枠を超えて彼らの事業拡大の支援を行っています。

　その他、地元中野で多店舗展開する人気の飲食店の経営者、日本だけにとどまらず台湾に進出を果たしたまつ毛エクステのサロンの女性経営者、急成長しているネットでのドレスレンタル事業を立ち上げた女性経営者など、多くの若手経営者の起業サポートを行ってきました。融資申込みに必要な銀行向けの事業計画書の作成アドバイスや経営相談など、支援の内容は多岐にわたりますね。

　また、経済産業省が運営する起業家支援のポータルサイト「ドリームゲート」において経営相談を受けるアドバイザーも務めています。メール相談や面談などを通じて、新規事業や起業についてのアドバイスを行っています。相談内容は多岐にわたるので私自身も経験値を上げるための良い勉強の機会になっていますね。

― 今後の目標を教えてください。

　お客さまの役に立てる新たな柱として、今後は相続税対策にも力を入れていきたいと考えています。そしてありきたりかもしれませんが、やはり「顧客第一主義」をどこよりも真っ直ぐに貫くことですね。

　税理士事務所の中には、声高にそう唱えながらも実は言葉だけで、結局は「自分第一主義」だと思うようなところも少なくありません。当所は本当の意味での顧客第一主義を目指してやっていきたいと考えています。そのことが、税理士事務所としてのいっそうの成長にもつながるのですから。

― 土谷代表が掲げる顧客第一主義の中身とは何ですか。

　事業が成功したり失敗したりしたときに、お客さまの立場に立って一緒になって喜んだり悲しんだりできるような関係を作ることだと思います。それは大手事務所には到底できないことで、中小の事務所でも本当の意味でそれができているところは実はそれほどないのです。

　中小企業の経営者とは、相談相手のいない孤独な存在です。会社の経営状況について腹を割って話せる相手はなかなかいないもの。顧問税理士は会社の儲けや経営者の給与の額など、友人でも知り得ない情報を知っているからこそ、それになり得るんです。顔を合わせることを大事にした日々のつながりの中でお客さまとの関係性を深めていく。これからも、真に信頼される身近な間柄でありたいと思っています。