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ニッポンの社長 > インタビュー > 理念・ビジョンを大切にする社長 > 株式会社コンフィデンス 代表取締役/CEO 齋藤 隼

― 成長を導いてきた御社の人材育成の手法を教えてください。

 当社には、5年後や10年後の「成りたい自分」を明確にして、それを目指し到達してもらうための仕組み作りが大きく2つあります。それが、「ライフプラン」と「キャリアチェックシート」の作成です。

 まず「ライフプラン」ですが、これは「仕事」と「プライベート」と「家族」の3つの軸に対して、自分の人生でのプランをあらかじめ明確にしていく仕組みです。仕事であれば、役割や仕事の中身、展望について、自分が考える内容を項目として挙げていきます。プライベートでは、余暇の過ごし方や趣味での願望から、自己啓発や個人の資産形成に至るまでを明確化し、実現への優先順位をつけていきます。自分が仕事をする目的は何なのか、それをモチベーションとして意識してもらうことが狙いです。

 3つめの家族ですが、仕事をする上での動機付けとして家族への思いは欠かせませんし、とても大切なものであることを自覚してほしいと考えています。家族を大事に思う気持ちは仕事に対する責任感に結びつきますから、その思いを可視化するということです。

 このようにして、約60歳までのビジネス人生を、公私ともに充実して過ごすためのプランとして明確にします。会社と個人の想いが離れることがないように、社員一人ひとりが人生についてどのように考えているのかを最初にじっくりと聞いて、思いをお互いに共有していくわけです。

― 「キャリアチェックシート」はどのような仕組みですか。

 これは個人の昇給や昇格における判断基準として採用しているものですが、自己評価を軸にしているのが特長と言える部分です。私も前職で経験したのですが、経営者や上司から一方的に給与を決められることには少し疑問を感じていたんですね。もちろん一般的には当たり前のことなのですが、ただ、全部が勝手に決められてしまうことに消化できない思いがあったんです。会社のお金なのだから、少しは社員にも「言う権利」はあるのではないかと感じていました。そこで、給与の基準や決め方を可視化したいと思ったのです。

 チェックシートは、「利益貢献」「組織貢献」「スキルの保有」「セルフマネジメント」という4つの項目に分かれていて、各5問で自己評価してもらいます。それを役員の評価と照らし合わせて判断していきます。その中で私は、たとえば営業成果である「利益貢献」に対する評価と、社内での環境美化や掃除をきちんと行っているかといった「セルフマネジメント」の評価とを同じ価値にしているんです。つまり、社内で誰もがやりたくないと思う雑務を進んで行うような社員は、やっぱり評価してあげたい。逆に数字だけは挙げても、セルフマネジメントに見向きもしないような社員は全体評価としては決して高くなり得ません。それを固定給の昇給やポジションの獲得につながる評価基準にしているのです。このように、自己評価の要素を組み入れることが自身への気づきになり、改善につながる。この2つの仕組みが会社と社員の成長に大きく寄与していると思いますね。

― ほかに社員の成長を促すための仕組みはありますか?

 2012年秋から始めたスキームとして、営業成果によるインセンティブをペア制で獲得していく仕組みがあります。たとえば、営業成績が上位の社員と下位の社員とがペアを組むという、インセンティブを割るイメージでの仕組みです。つまり上位の社員は、自分が成果を挙げただけではインセンティブがフルに獲得できません。するとどうなるか。仲間に取らせなければ自分にも影響がありますから、その瞬間に当事者意識が生まれ、自身のスキルやノウハウを他方に教えるようになるのです。一方教えられたほうも、自分の未熟さでインセンティブが他方にマイナスに跳ね返るのでは申し訳ないという気持ちが芽生えます。「成長しなくちゃいけない」という意欲やモチベーションが自然な形で表れるのです。自分が教えることで人が成果を挙げるという喜びや、人から学ぶことで得られる感謝の思いなど、お互いに成長できる要素が新たに生まれることになります。

 この仕組み作りについては、成果を挙げている社員がモチベーションを下げてしまわないかという懸念が正直ありました。でも私は自分の社員を信頼したい。マイナスに捉えるのでなく、上が下を引き上げてくれる方に賭けたいと思いましたね。集団で生きていく上で、私利私欲しか頭にない人、自分さえ数字を挙げればいいという人は当社では評価に値しません。長い目で見れば、そうした社員は会社や社会に貢献できる人材ではないのです。

 当社の合言葉で、「矢印は自分に向けろ」というものがあります。常に自分に矢印を向けながら、自己の行いを振り返る。あらゆることを自分にとっての課題として考える。そうした思考をいつも大事にしたいと思っています。

― そうした人材育成に力を入れているのはなぜですか。

 当社のような営業会社ではなおさら、社員はいわば人生を賭けて入社してくるわけです。だから、人を育てることに力を入れるのは当たり前です。私の会社は人の力がすべて。会社をこうしたい、という思考ではなくて、社員みんなの思いが集まることで、会社の形が出来上がっていくという感覚で経営を行っています。人作りは会社が成長していくために絶対に欠かせないもので、私にとって人材の育成は、会社が成り立つ前提として当たり前のことなのです。

 私は、会社としての成長だけではなく、社員みんなの幸福や成長を獲得したいという思いのほうがすごく強いんですよ。時間がかかってもいいから、社員の幸せや充実感を優先して追い求めていきたいし、それを絶対に崩しては駄目だと思っているんです。人材育成を何のためにやっているのか。それは社員本人それぞれの人生のためにやっているということ。人の力は無限です。それが集まることで会社は成長できるし、成果も伴ってくる。その思いは私にとっての確固たる信念ですね。

著名経営者

  • 株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)

    羽鳥 兼市
  • 伊那食品工業株式会社

    塚越 寛
  • エステー株式会社

    鈴木 喬
  • 株式会社スタジオジブリ

    鈴木 敏夫
  • GMOインターネット株式会社

    熊谷 正寿
  • 楽天株式会社

    三木谷 浩史

プロフィール

  • お名前齋藤 隼
  • お名前(ふりがな)さいとう じゅん
  • 出身鹿児島県
  • 身長170cm
  • 血液型O型
  • 平均睡眠時間6時間
  • 趣味ダイビング、フィッシング
  • おススメ本渋谷で働く社長の告白
  • 購読雑誌Safari
  • 家族独身
  • 今までに訪れた国4ヵ国
  • 座右の銘成りたい自分になる
  • 尊敬する人会社の仲間
  • 尊敬する経営者稲盛和生
  • 尊敬する歴史上の人物坂本龍馬
  • 好きな歌(曲)We Will~あの場所で~
  • もし生まれ変わったら?ルフィー
  • 休日の過ごし方仕事遊び
  • 自分だけの隠れ家誰も居ない会社
  • 好きなお酒の銘柄テキーラ
  • 出身校成立学園
  • 飼ってるペットミニチュアピンシャー