ニッポンの社長

ニッポンの社長 > 一般社団法人 日本グリーフ専門士協会 代表理事 井手 敏郎

一般社団法人 日本グリーフ専門士協会 代表理事 井手 敏郎

悲嘆から立ち直り、いつか希望に変わるまで支えたい

人生において避けて通ることができない死別の哀しみ。大切な人との永遠の別れに直面して深い悲嘆に暮れる人は、今もこれからも決して減ることはない。誰もが経験する喪失の哀しみを哀しみだけで終わらせず、いつか希望に変わることを信じて関わる。そんな寄り添いのプロを養成するのが日本グリーフ専門士協会だ。代表理事の井手氏はアドラー心理学を軸にした独自の視点でグリーフケアを捉え、従来なかった新たな切り口で「陰陽ダイアログ」という概念を確立したグリーフケア業界の注目の存在である。

― 協会の事業内容について教えてください。

 グリーフとは大切な人との死別や喪失体験による悲嘆や身体の反応のことです。当協会では、誰しも経験するそうした悲嘆と向き合うための講演、研修、スクールを開催しています。看護師や介護福祉士を中心に、さまざまな業種や一般の方々に対して、悲嘆に寄り添うためのあり方を教える「グリーフケア研修」をはじめ、心のバランスをとる方法を伝える「メンタルサポート研修」を行っています。

 さらに専門的なノウハウを身に着けたいという方々に向けて、「グリーフ専門士養成スクール」を設け、修了者に「グリーフ専門士」の認定資格を授与しています。2015年4月に協会をスタートして以来、400名(2018年4月現在)を超える方が専門士の資格を取得しています。

― グリーフ専門士の育成における特徴はどのような点でしょうか。

 グリーフケアの場合、悲嘆に暮れる方に対し、カウンセリング手法を中心に普通の生活に戻れるように支援することが少なくありません。

 当協会では、哀しみにじっと耳を傾けていくことはもちろんですが、相手の心の奥底にある本当の望みに触れつつ、現実的な課題に関わっていくことも大事だと考えています。まずは相手の立場、環境を配慮しながら、ゆっくりお話を伺います。状況に応じて、さまざまな心理療法(セラピー)を活かし、ご本人が抱える仕事や交友関係、家族に起きている課題に対して、自ら気づいていかれる関わりも大切にしています。

 研修では、悲嘆者への向き合い方に加え、セラピー、カウンセリング、コーチングなどを統合した「陰陽ダイアログ」と呼ぶ、新たな対話の手法をお伝えしています。

 喪失体験を通して自分を見つめ直し、自分がどう生きたいのかに気づき、今までの人生以上に、自分が自分らしく生きられるように支えていく。ネガティブな気持ち(陰)とポジティブな気持ち(陽)の両方を大切にしながら、状態を少しずつプラスに向けて頂けるアプローチです。

― 死別の喪失感に苛まれる状況から、前向きな気持ちにしていけるものなのですか。

 丁寧に丁寧にかかわることで、それは可能だと感じてきました。まずその人が抱える痛みに深く寄り添うことによって、心の奥底にあるご本人も見落としていた気持ちに触れて頂きます。

 家庭をかえりみず、仕事だけに没頭していた方が、突然奥さんを亡くして10年以上身動きがとれなかったケースがありました。そんな方が私たちとの関わりの中で、はじめて自分を許すことができて、社会奉仕的な活動に目覚めたこともあります。

 悲嘆には誰かに対する怒りがあるかもしれません。自分に対しての罪意識があるかもしれません。しかし哀しみを十分に味わうことができれば、その奥にある愛に目が向けられるようになります。多くの方がグリーフケアはネガティブな気持ちだけに耳を傾ける取り組みと思われているかもしれませんが、哀しみの奥に隠れたポジティブな想いを大切に扱うことで相手の状態は変わっていきます。私たちは、死という大きな喪失体験は、見落としていた生きる意味を見出す機会にもできると信じています。

 人の話を真剣に聴くのは容易ではありませんが、 一般的な傾聴の枠を超えた深いコミュニケーションで、新たな一歩を踏み出してもらう。本当の自分になるための本質的で深い対人支援の手法が、私たちの陰陽ダイアログなのです。

著名経営者

  • 株式会社堀場製作所

    堀場 雅夫
  • 株式会社ドリームインキュベータ

    堀 紘一
  • 株式会社インテリジェンス

    鎌田 和彦
  • 株式会社セプテーニ・ホールディングス

    七村 守
  • エステー株式会社

    鈴木 喬
  • 株式会社ディー・エヌ・エー

    南場 智子

プロフィール

  • お名前井手 敏郎
  • お名前(ふりがな)いで としろう
  • 出身東京都
  • 身長173cm
  • 体重62kg
  • 趣味合気道、八光流柔術