― 買取再販を行う上で、リフォームについてのポイントは何がありますか。

　まず周囲の意見に柔軟に耳を傾けて参考にしていくことです。販売会社にも必ず相談して物件に対する情報や意見をどんどん聞いていきますね。その上で間取りを見て、エリア特性や購買のターゲットに合わせたリフォームをイメージしていきます。

　それはこれまで多くの物件を手がけてきた経験値がベースになるものですが、一方で従来の間取りのままでは面白くないと感じたり、売れるイメージが湧かない物件が中にはあるんですね。そこで、たとえば水回りの位置や向きを変えて良くしようと思っても、構造的な理由で動かすことができないこともある。そんな場合には、買うことはしません。つまり、自分がイメージするような形に持ち込めるかどうかが、その物件を仕入れるかどうか、つまり買うか否かの判断になることが多いからです。リフォームに関して自分の思い描くイメージにまで到達できなければ、買ってくださる顧客の顔もイメージできないということです。

― 物件の仕入れに関して御社が重視している点は何でしょうか。

　それは当社のビジネスにおいてとても重要な位置を占めるものです。仕入れについて不可欠なのは、候補になる物件に関する良質の情報なのですが、それを得るために欠かせないのは、自分が培ってきた人付きあいや人脈です。

　ただ、僕の場合は「浅く広く」の人脈づくりはどちらかというと苦手で、たとえば電話だけで話したことのある人たちが何十人、何百人いても、良い情報は得られないと思っています。情報をくれる人たちというのは昔からの長い付き合いのある人たちで、お互いに信頼する太いパイプでつながっているからこそ確かな情報を得られるのです。そうした情報をもとに物件を仕入れ、エリア特性や顧客層にあった、工夫あるリフォームによって魅力あるマンションに造り替え、価格設定をできるだけ下げながら提供することで買主に喜んでいただく。それが私の考えるビジネスモデルです。

　当社の場合はこれまで、中古マンションの物件を扱って販売したなかで、赤字を出したことが１件もありません。、赤字物件ゼロというのは業界の常識では考えられないことです。それだけ1点集中型というか、1件ごとの物件に魂を込めながら、シビアにとらえて物件を扱ってきた結果だと思っています。