― 﨑山さんが起業した経緯を教えてください。

　私は大手不動産会社の子会社で用地開発や不動産管理などの事業を経験した後、自分でビジネスをやりたいと考えて、26歳のときに携帯電話の販売店を独立開業しました。

　当時は携帯電話販売の業界は非常に活況で、やがて携帯電話の販売会社に転籍して、同社を従業員120名の年商40億円、30店舗を数えるまでに押し上げることができました。

　その後、以前いた不動産会社の子会社に常務取締役として呼び戻され、組織に守られた安定した立場で仕事をしましたが、やはり自分で事業をやりたいという想いが離れなかったのです。

　ちょうどそのとき、携帯電話事業でお世話になり、今は当社の役員である菅原（智美氏）が自分の会社で貸会議室の事業をやっていました。そのビジネスに大きな魅力を感じた私は、事業譲渡を受けて法人化。2013年９月に株式会社会議室コンシェルジュを立ち上げたのです。

― 﨑山さんが大切にしている理念はなんでしょうか。

　当社は理念として、「日本人としての誇りをもっておもてなしの心を育み、アジアの人々へ人脈、教育、技術、資金を提供する」ことを掲げています。

　いま当社では、貸会議室の設営や清掃のスタッフも、アジアの方を多く採用させてもらっているんです。ワーキングホリデーや留学で日本に来ている外国人の方などは、学費や生活費を効率よく稼いでもらうこともできます。

　自分自身、25歳で独立して曲がりなりにもやってこられたのは、周りの多くの方が協力の手を差し伸べてくださったからにほかなりません。

　これからは私自身が、環境に恵まれていない弱い立場の人にも、積極的にチャンスを提供していきたいとの想いがあります。ぜひビジネスで成功して、人生を輝かせてほしいと考えているのです。

― 今後のビジョンを教えてください。

　人が集まって、新しいビジネスの話をして世界を広げたり、世の中をより活性化していくための「場所」を提供していくのが私たちの使命です。

　たとえば今後は、朝の６時くらいから集まれる場所を、相当な安価で貸せるようなサービスも提供したいと考えています。お年寄りなど、起床後の早朝の時間を有効に使いたいという方は多くおられますから。今は朝活も流行っていますしね。

　会議室があることで、その地域の経済も活性化します。たとえば会議室の近くのコンビニや自動販売機で、会議室利用者が購入することで、売上が大きく増えるんです。そんなふうに、会議室があることで喜んでくれる方は多くいます。集まった人たちと、地域の美味しいお店や楽しいスポット、イベントの情報などを共有していくことで、まちはどんどん活性化できます。そんな役割を担う会議室を、地域にたくさんつくりたいと考えているんです。

　さらに、2020年の東京オリンピックを控え、海外から来日する方も増えてきています。日本で新しいビジネスを始めたい外国人や、外国人向けに日本の文化との触れ合いを提供する会社にとって、これから会議室はもっと需要が増えるでしょう。そのため、2018年内にはサイトを多言語化し、より多くの方に当社の事業を知っていただくとともに会議室を利用していただきたいと考えています。

　会議室が増えることで、周りにたくさんの幸せが生まれます。そうやって、「会議室コンシェルジュ最高！」と思ってくれる人を、いっそう増やしていきたいですね。