― 米国でのトレーナーの勉強を終えて、山本代表には「日本のトレーニング法」はどのように映りましたか。

　もっと改善できる部分があると感じました。日本の学校の部活動では、古いトレーニング法が残っていたり、効果の裏付けがない練習もまだ行われています。その大きな要因は情報不足にあります。

　しかし近年、日本サッカー協会の指導者養成などの影響もあり、科学的なサポートの必要性が取り上げられるようになってきました。また最近では、一般の方のトレーニングに対するニーズも高まり、フィットネスクラブでもスポーツ医科学の専門的な知識、経験が必要になってきています。

― 帰国後はどのような活動をしたのですか。

　個人で指導を行うようになりました。高校のサッカー部を始めとして、プロサッカー選手との個人契約など、徐々に契約先が広がっていきましたね。その後、サッカー日本代表の育成年代（中学生・高校生）チームで4年間指導し、Jリーグのヴェルディ、ベガルタ仙台やプロ野球の読売巨人軍でもフィジカルコーチを経験しました。

― 山本代表は2004年に会社を設立しています。どうして組織化しようと思ったのですか。

　大きく2つの理由があります。1つ目は、Jリーグチームやサッカー日本代表の育成年代チームを指導して、育成年代のスポーツ環境を改善する必要性をより肌で感じました。非常に幅広い育成年代に対して、トレーニングやリハビリ、またフィールドテストといった体力テストを広めていくには個人では限界があります。そのためには組織化して多くのスタッフが同じフィロソフィー（哲学）で指導していくことが必要だと考えました。

　2つ目は、若いアスレティックトレーナーに職場を提供したいと考えたからです。私はアスレティックトレーナー養成専門学校の講師を長く行っていますが、スポーツ関連の職場が少ないこと、また、職があったとしてもボランティアであることが多いことを残念に思っていました。そこで、私の活動を会社組織にすることで若い人に職場を提供しようと考えたのです。