私は「夢」と表現していますが、会社の成長には揺るがない理念、ビジョンが必要なように、個人の成長を後押しするのは夢です。問題は、個人の夢や価値観と、現在の仕事が同期していないところにある。すると、仕事は「やらされるもの」となってしまい、モチベーションは上がりません。個人の夢の実現と、会社のビジョンが同期させられるかがポイントで、それをコンサルティングに取り入れているのが当社の強みです。

　社員一人ひとりについて、具体的にではなくても、何かが見えてきたらそれを夢として設定して、そこに至るまでの設計図を描いてもらう。自分のキャリアの延長線上にその夢があることを意識できれば、仕事に対する向き合い方は必ず変わってきますし、実際「短期間で営業成績が上がった」「若い社員の意欲が感じられるようになった」と、クライアントからは評価されています。営業の仕事にテクニックとメンタルがあるとすれば、8割はメンタルで決まる。私はコンサルタントであり、メンター的な立ち位置も強く意識しています。個人と会社の価値観が一致すれば、働きやすい会社として評価が上がり、忠誠心が高まり、持続的な成果を生み、人材の採用にも好影響が出てくる。そんな組織改革のお手伝いをしたいですね。

― 若い世代に「夢を持たせる」ために、どんなアプローチを心がけているのですか。

　現在の20～30代は、生まれたときから物質的に満たされていた世代で、ただ「夢を持て」と話しても響かないのは事実です。でも、それはきっかけがないだけ。私は「もし余命半年と宣告されたら、何もせずに死を待ちますか?」、こう問いかけることから始めますが、ほとんど人は「NO」と答えます。では、何をしたいのか?それがわからないのですが、子どもの頃に夢中になったもの、得意だったものは何かなど、自分の内側を探るように誘導し、一つの仮説を立てて、発見に導きます。

　私自身、新卒で大手百貨店の外商部に配属され、富裕層のお客様の生活スタイルを見て、強い憧れを抱きました。「おれもこうなりたい！」、それが私の夢のきっかけです。

　その後、独立の決意を固め、スポーツ・健康関連のビジネスで起業。しかし、結果的に数千万円の借金を背負いました。そのときは相当などん底の生活を経験しました。その後も高島屋当時の夢を持ちながら6回の転職を繰り返し、成果を上げながら今に至ります。現在、私がコンサルタントとして企業を支援できるようになったのは、ひとえに夢とビジネスにかける想いをもちつづけたからなのです。

― 今後のビジョンをお聞かせください。

　壮大な話になりますが、日本を元気にする潤滑剤になりたい。それには会社を元気にする必要があり、そのためには個人のマインドセットを変えなくてはいけないと思っています。夢を見るのが難しい時代といわれますが、個人が夢を持ち、その実現のために一生懸命働かなくては、会社の成長はないでしょう。また、夢を持って充実した生き方をする親の姿は、子どもたちに受け継がれていくものです。組織を改革し、個人が夢を持てるような環境づくりをお手伝いして、日本を元気に、明るくするきっかけをつくりたいですね。

　私は明治大学の出身ですが、今後は学生たちに夢を持つこと、挑戦することの意義を伝える講演会も積極的に行なっていきたいと思います。将来は、日本武道館で夢、挑戦をテーマに、私が生き方に共感する方々と一緒に大講演会を開催したい。荒唐無稽な夢と笑われるかもしれませんが、そこに至る設計図も、私には見えています。