― 顧客側の視点に立つという意味で、そのほかに重視しておられるサービスはありますか？

　顧客との直接のコミュニケーションを担う、お客様相談室の役割を重要視していますね。受け身ではなく、常に能動的なお客様サービスを心がけることが社内スローガンの一つです。所有者の方に対してフェイスtoフェイスでお話しし、1ヵ月に一度は直接コンタクトをとってご要望をお聞きしています。

　そして設立10年目にあたる今年、お客様相談室の業務をさらに強化すべく、スタッフ増員をはじめとしたリニューアルを実施しました。売り切りで終わってしまうことも多い業界の習慣を打破する取り組みを行なうことが、所有者の方から多くのお客様をご紹介頂くことにもつながっています。

― お客様にとっての問題解決につながった最近の事例を教えてもらえますか。

　病気で入院したことでローンが組めないと考えて、投資用ワンルームマンションの購入をあきらめたというお客様がおられました。完治が見込める入院や通院の場合はローンを組むことができますので、まずはローン適用までの流れを説明し、安心して治療に専念していただきました。

　このように、販売する前の潜在顧客の方も含めて、効果的な資産形成や運用プランニングについての相談を数多く受けています。先日は資産形成を目的にワンルームマンションを購入されたお客様から、相続が発生しそうだということで税務コンサルの依頼をいただきました。そうした専門的な分野では、提携の税理士などを通じてアドバイスをさせていただいています。

― 会社経営において、櫻井社長が大切にしていることは何ですか。

　やはり企業を支える「人」の重要性です。私自身、大学生の頃に不動産業界に飛び込み、前職では上場会社の最年少役員として130名の部下の育成に力を注ぎました。会社が上場を果たし、売上300億円、従業員300人という急速な成長を遂げたのは、優秀な人材が育ち、それをマネジメントする組織の仕組みができていたからだと思います。

　私は起業当時から、「すべて人なり」という言葉を社長室に掲げていますが、人を育てることこそ、経営戦略において最も大きなウエートを占めるべき部分だと思っています。特に組織が未成熟なベンチャー企業においては、モチベーション形成を含めた人材マネジメントは非常に重要なのです。