― ベンチャー企業がメーカーになるのは容易ではないと思います。どうやって実現したのでしょう。
ECサイトのバイヤーや、起業してからの卸業を通じて、美容品業界でネットワークを築いてきたことが大きいと思います。ものづくりにかんしては、研究・製造のリソースも事業者に依頼することになりますが、重要なのは商品の企画。いい商品、売れる商品であれば、協力してくれるパートナーを見つけるのはさほど難しくありません。
― 『MAPUTI』開発の背景を教えてください。
メーカーになるといっても、歴史のある大手化粧品メーカーと同じ土俵に立って勝負はできません。狙ったのはニッチなものづくり。たとえパイは小さくても、ニーズは間違いなくある「スモールマス」を意識してマーケティングを行いました。開発を始めた頃、私は26歳で、同じ年代の女性が悩みながら、効果的な解決策が乏しいものはなにかを突き詰めた結果、浮かんだのがデリケートゾーンに関する悩みでした。黒ずみやニオイに悩んでいる女性は多いため、それらを抑える「ホワイトクリーム」を最初に開発したのです。ひょっとしたらデリケートゾーンは広告などで訴求しづらいため、大手はあえて手を出さなかったのかもしれません。そこが勝機だという判断は間違っていなかったと思います。また、『MAPUTI』という言葉はタガログ語で「白」を意味します。女の子の悩みを黒とした場合、それを解決するブランドとして白をイメージしていました。ネーミングについて、友人や知人にいろいろ相談したところ、あるモデルの友人が発した言葉が『MAPUTI』だったのです。聞いた瞬間に「それだ」と思いました。響きがかわいくて女の子にウケそうだし、ブランドが提供したい価値を端的にあらわしていると思ったからです。
― 今はラインナップも増えていますが、ブランドバリューを高めるために意識しているのはどんなことでしょうか。
開発にあたっては3つの要素を掲げています。「天然由来成分」「香り」「多くのフリーと弱酸性」がそれにあたり、「ホワイトクリーム」以降に開発した「バストクリーム」「クッションスクラブ」「デリケートゾーンソープ」すべてに、3つの要素を徹底しています。ほかとの差別化という意味で大きいのは「香り」。女の子はテクスチャーと同時に香りにとても敏感です。ここにはこだわり、香料師とイチからつくった世界でひとつの「マプティの香り」を、すべての商品に使っています。アンケートでは香りにとても高い評価をいだたいており、成功の大きな要因になっているはずです。
― 機能的な部分での優位性はどうでしょう。
たとえば「バストクリーム」。胸を大きくするクリームは女性ホルモンに働きかけるものが多いのですが、当社は別のアプローチを提案しています。脂肪をボリュームアップさせる成分として特許を取得している「サルササポゲニン」をたっぷり配合し、女性40人に1日2回塗布してもらった実験の結果、最大で1カップ分増大という実績も得ています。女性ならではの悩みから連想して、テクスチャー、香り、そして機能、デザインまで女性目線を貫いて開発したところが、『MAPUTI』の特徴であり強みだと思います。
― 間もなく5期目を迎えるわけですが、起業当初と比べて、経営者としての意識には変化はあるのでしょうか。
経営者としても、ひとりの人間としても、私がもっとも大切にしているものが2つあり、1つは「仁義」です。言葉に噓偽りがなく、誠心誠意お仕事に向き合い、信用・信頼をもとにした取引をさせていただくこと。もう1つが「スピード」で、どんなにいい仕事をしても、時間をかけすぎていたらビジネスチャンスを逃しかねません。「仁義」は英訳できない言葉ですが、私の定義では「love & justice」。それぞれの頭2文字と「speed」の頭文字を合わせて、会社名を「lojus(ロフス)」としました。これは会社がどれだけ大きくなっても不変的な部分で、仁義をもって迅速に、すべてのお客さまとお取引させていただいています。また「仁義」と「スピード」に国境は関係なく、どの国でビジネスを展開するにしても大切にすべきもの。中国で受け入れられた背景にも、この基本的な考え方と姿勢があるのかもしれません。
プロフィール
- お名前田中 麻里奈
- お名前(ふりがな)たなか まりな
- 出身東京都
- 趣味ストリートダンス、スノーボード
- 家族父、母、兄、私
- 今までに訪れた国30ヵ国
- 座右の銘lojus(仁義+スピード)
- 尊敬する人マザーテレサ
- 好きな食べ物コーン、ハヤシライス、すき焼き
- 好きな言葉人生プラマイゼロ
- もし生まれ変わったら?また自分に生まれて、別人生を。
- 休日の過ごし方友人とワイワイ。